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公開日:2022/01/28
  最終更新日:2022/01/28

課題:わが国における戦後の精神保健医療福祉の歴史をまとめ、その動向について精神保健福祉士としてのあなたの意見を述べなさい

規定文字数:2000字
本文文字数:2200字

先の大戦の被害により精神病院も激減するに至ったが、新憲法の発布・社会保障制度の整備に伴い、行政的医療施策も再建へと向かった。1950(昭和25)年に制定された※①精神衛生法が主旨とする内容と、それらに関連する経緯を改めて追っていくうちに、
「精神障害者を医療施設内への収容をおもな目的とし、社会から隔離するという社会的防衛策が強く反映された、いわば”入院促進動向”である。」
という見解に至った。その理由として、

第1に1960(昭和35)年の※②医療金融公庫法:精神病院設立のための国庫補助・長期低利融資による資金提供である。

第2に1958(昭和33) 年の※③精神病院職員人員にあたっての特例である。
精神衛生法促進の背景から、精神科病床の増加に伴う医療スタッフ確保が必須となった。精神科では他科と比較して、3分の1の医師・3分の2の看護師で運営しても致し方ないという、「精神科特例」が生じた。

第3に措置入院患者数の急増が挙げられる。
1961 (昭和36)年に、※④措置入院費に対する国庫補助割合が5割から8割に増額された。また、当時の厚生事務次官の、「自傷・他害を及ぼす可能性のある精神障害者は、可能な限り措置入院対応にて、社会的不安を能動的に排除することを意図する。」という旨の通達によって入院患者増加の加速に拍車をかけた。さらに、自傷・他害の危険性はないものの経済的な事由により、「経済措置」と称される措置入院も生じることとなる。以上の背景から精神病院・増床・精神病院入院患者の急速な増加へとつながり、その長期入院を促す要因にもなった。

しかし、それらに伴うべき適切な治療・看護・リハビリテーションを提供する医療スタッフ体制は、十分とはいえない状況であったと推察できる。何故ならば、いつの時代においても、限られた国庫財政で賄う国公立医療機関内での整備は極めて困難であり、いわば「エコノミーな収容施設」とでも解釈しているかのごとく、民間医療機関に頼らざるを得なかったことは明白である。私立病院は運営母体の企業性から医療と経済効率の両面を考慮せねばならず、わが国の医療保健分野の質の低下を招いてきた動向もそこに要因があると想定できる。

また、1964 (昭和39)年における精神障害の少年がライシャワー氏を擦傷した事件に伴い、
1965(昭和40) 年の精神衛生法改正へとつながった。以上の経緯よりわが国の戦後の精神障害者に対する概念は、「隔離して収容する」という社会的要請が起点であり、それを推進できる行政の施策誘導が背景に存在していたとの考察に至る。

その後、1987年(昭和62)年に精神衛生法を改正し”精神保健法” が制定された。その主旨は、
1.国民の精神健康の保持と増進
2.精神障害者の人権保護
3.精神障害者リハビリテーションの促進
である。それにより精神障害者社会復帰施設の法定化がなされ「精神病院から社会復帰施設への移行」という動向が形成された。それに伴い国民も社会復帰を希望する精神障害者を援助する、という責務を担うことになった。人権保護の面においても、精神障害者の自己の在り方を尊重するインフォームド・コンセントの反映や、精神医療審査会の設置などで、精神障害者が不当な扱いを受けた際に公訴できるようにもなった。 

また、当時厚生省に存在した公衆衛生審議会による「地域精神保健対策に関する中間意見”・処遇困難患者に関する中間意見・今後における精神保健対策について」を前提に
1993(平成5)年に精神保健法の改正がなされた。これにより、1987年制定の精神保健法と比較し、さらに精神障害者を、「社会復帰施設から地域社会へ」という潮流が作られることになり、精神障害者へのリハビリテーション対応策が推進されるようになった。ただし、「1.国民の精神健康の保持や増進をはかる」という根幹も精神障害者だけの事案に着目し忘れてはならないことである。また、1993(平成5)年”障害者基本法”の成立により精神障害者を障害者と明示し、保健・医療政策にとどまらず福祉施策においても、より重視されるようになった。

さらに、1994年(平成6)年の“地域保健法” の成立を経て、
1995(平成7)年に、精神保健法が大きく改正され、「精神保健および精神障害者福祉に関する法律「通称:精神保健福祉法」へと至る。以上の流れから、精神障害者、並びに一般の国民の精神保健に対しても、地域的支援を行うという行政施策が明確にされた。しかし、これらの目的に対して功を奏する実践を行うにあたっては精神保健・精神科医療・精神障害者福祉という3本の柱がより良い状態で連携を保持すること初めて成り立つものである。

以上の、戦後精神保健医療福祉の歴史的動向の流れから、現状、必要とされている3本の柱の連携を担うべき役割として、国家資格である精神保健福祉士の存在は不可欠である。精神障害者に不利とされた、精神保健福祉行政における過去の様々な点を改善すべく、政策課題改善などに関しても実例事案から見いだせる新たな処遇改善問題に、積極的な発言が可能な立場でもあり得る。 
また、精神医療の質の低下に関する諸問題に対しては、クライエントの受診状況詳細などをヒアリングしての勘案・改善が急務とされる。社会において精神面での困難を抱えている人々に対し、精神分野のみならず社会的解決という連携的専門知識とスキルを駆使しつつ地域移行への援助という、新たなわが国の福祉政策動向に邁進すべき重責でもあるという認識に至る。

参考文献

  • 1.
    高田短期大学 介護・福祉研究 第3号 2017
    研究論文 精神科病院をめぐる歴史的課題と矛盾の構造 青山 智香 
    URL:http://www.takada-jc.ac.jp/campus/fukushi/pdf/h28kiyou-06.pdf
  • 2.
    法制度からみた精神保健福祉の変遷 精神保健福祉法の制定の背景を探る 吉川 武彦
    URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/52/4/52_4_219/_pdf/-char/ja 
  • ※①DINF│障害保険福祉研究情報システム 精神保健法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)
    昭和25年5月1日法律第123号*平成15年法律第119号まで反映
    第5章 医療及び保護 第3節 第29条の2指定医の診察及び措置入院
    URL:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/law/6laws/seishin.html#5
  • ※②医療金融公庫 昭和35年度 決算検査報告
    URL:http://report.jbaudit.go.jp/org/s35/1960-s35-0133-0.htm
  • ※③厚生労働省│特殊病院に置くべき医師その他の従業員の定数について 
    (昭和23年10月2日)(発医第123号)
    URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6290&dataType=1&pageNo=1
  • ※④厚生労働省│精神衛生法の一部を改正する法律等の施行について
    (昭和36年9月11日)(発衛第311号)
    URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4529&dataType=1&pageNo=1

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