特定理由離職者とは
ここでは、給付制限期間なく失業手当をもらえる特定理由離職者について解説します。
失業手当と就職困難者など制度の概要は別の記事で解説しておりますので、そちらをご覧ください。
特定理由離職者とは
自己都合による退職であっても、正当な理由がある場合は特定理由離職者とみなされます。
特定理由離職者と認められる「正当な理由」には、次のようなケースが挙げられます。
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退などにより離職した
- 妊娠、出産、育児などにより離職し、受給期間延長措置を受けた
- 家族の看護や扶養など家庭の事情が急変したことで離職を余儀なくされた
- 結婚や事業所の移転、公共交通機関の廃止などを理由に通勤が困難になった
厚生労働省職業安定局 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
特定理由離職者の3つのメリット
所定給付日数
下図のように一般の離職者(定年退職、期間満了、自己都合で離職した方等)と特定理由離職者(障害をお持ちの方)では、所定給付日数や被保険者期間に大きな差があります。


給付制限期間がない
一般離職者は、離職票をハローワークに提出してから7日間の待機期間があり、その後2か月または3か月の給付制限期間があります。その間、失業手当を受け取ることはできません。
特定理由離職者は給付制限期間がないので、待期期間満了後すぐに失業手当の給付対象になります。
国民健康保険料の軽減
市区町村へ届出により、国民健康保険料が軽減(給与所得を30%に換算して保険料計算)されます。
手帳所持者等は就職困難者にも該当する
精神障害者保健福祉手帳の所持者や、統合失調症、そう病、うつ病、躁うつ病(双極性障害)、てんかんで通院中の方は就職困難者にも該当します。この場合、特定理由離職者のメリットである給付制限期間の免除を受けつつ、就職困難者の(基本手当)給付日数が認められます。


- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士