もくじ
日常生活のための支援の種類
精神科デイケア(自立訓練による生活訓練)
精神科デイケアとは、規則正しい生活を目指したり、同じ疾患を持った仲間たちと交流を図ったりなどができる場所です。
多くの場合は、精神科や心療内科に併設されており、大抵は、月曜日から金曜日の9時~15時頃まで行われています。
また、デイケアスタッフには、看護師や精神保健福祉士などの専門職が所属しているため、日常生活の中で困っていることを相談することもできます。
さらに、デイケアでは昼食も治療の一環として提供されています。(昼食を希望しない場合は摂らないことも可能です)
それぞれの体調や都合に合わせて、参加日や時間を決めることができるので、無理のない範囲で通いましょう。
精神科デイケアは外来通院の一種ですので、健康保険加入者は保険を使うことができます。
また、生活保護を受給している方は、保護費からデイケア代がまかなわれます。
訪問看護サービス(自立訓練による生活訓練)
自分自身が病院などに通うよりも、住み慣れた自宅で相談や支援を受けたいという方もいると思います。そういう場合は、訪問看護サービスを視野に入れてみましょう。
訪問看護は、看護師や精神保健福祉士、作業療法士などの専門スタッフが決まった日時に自宅を訪問し、服薬管理や生活上の相談などを行ってくれます。
また、本人だけではなく、当事者を支える家族に対してもアドバイスをしてくれますので、家族単位で問題を解決していくことができます。
ホームヘルプサービス(居宅介護)
精神疾患が原因となり、料理や掃除などの家事をすることが億劫に感じている方は数多くいます。
そうなると、食事を摂ることが不規則になったり、衛生面での課題が出てくる可能性も否めません。自分の身の回りのことを行うのが苦痛な場合は、無理をせず人の手を借りましょう。
ホームヘルプサービスは、ホームヘルパーなどが当事者の自宅を訪れ、必要な家事代行をしてくれます。日時や頻度などはサービス利用時に決めることができますので、自分にとって最適なプランを立ててください。
どうしたら日常生活のための支援を受けることができる?
上記に日常生活支援の種類をご紹介しましたが、どういう手続きを踏めばサービスの利用が可能になるのでしょうか?
以下に、それぞれのサービスの申し込み方法の流れをご紹介します。
精神科デイケア利用のための手続き
精神科デイケアを利用するには、まずかかりつけ病院の主治医に相談してみましょう。
自分と主治医の同意があれば、デイケアのサービスを受けることができます。かかりつけ病院にデイケアが併設されていれば、基本的にそこでの利用になるでしょう。
また、デイケアがない場合や他の場所のデイケアに行きたい場合も、主治医の推薦があれば可能です。(主治医の推薦書は、併設のデイケアの場合も必要)
外来診療に含まれるデイケアは、保険適用で70歳未満なら、3割の負担となります。
しかし、市役所で自立支援医療の手続きを行うと、1割負担での利用ができますので、経済的にも助かります。
訪問看護を受けたい場合は?
訪問看護を受けたい場合も、最初に主治医に相談をした方がスムーズです。計画相談の相談員にも相談可能です。
主治医がサービスを受けるにふさわしいと判断した場合は、訪問看護サービスを推薦するための書類を書いてくれます。そのあとは、主治医や訪問看護サービスのスタッフがともに、本人にふさわしいサービス内容の計画を立てることになります。
また、訪問看護の利用も保険適用が可能です。そのため、精神科デイケアと同様に、市役所などで自立支援医療の申請を行いましょう。そうすると、1割負担のみでサービスを受けることができるようになります。
ホームヘルプサービス(居宅介護)利用のための流れ
ホームヘルプサービスの利用をしたい場合は、ホームヘルプサービスを行っている事業所や主治医に相談しましょう。主治医に話をした場合は、ふさわしい事業所の情報を提供してくれます。
また、直接事業所を訪れた場合も、専門スタッフが話を聞いたうえで、本人が希望するサービス内容の計画を立ててくれますので、ご自身の環境に合った相談先をお選びください。
ホームヘルプサービスを利用する際には、市区町村役場の窓口に申請をしなければなりません。
調査の結果、サービスの適用が許可されると、申請者に精神障害者居宅介護等利用者証が交付されます。そして、大抵の場合は、サービスを1割負担のみで利用することが可能になります。ただ、ホームヘルプサービスを受けるには、
- 精神障害者保健福祉手帳の所持
- 障害年金の受給
のいずれかに該当する必要があります。
精神障害者保健福祉手帳の申請は、ホームヘルプサービスの申請と同時に行うことができますので、「障害年金よりも先に手帳を」とお考えの方は一緒に手続きを進めることを考えてもいいでしょう。
日常生活自立支援事業
日常生活に困難が生じていて、福祉サービスを受けたいけれど、自身でサービスの情報収集や、手続きを行うのが難しい場合には、日常生活自立支援事業を利用するという手段もあります。
収入に応じて月額の利用料がかかりますが、利用できる福祉サービスを案内や、その手続きの手伝い、日常的な金銭管理などをおこなってもらうことができます。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士