精神障害の方が相談できる窓口について
精神障害の方が困ったときや心配事などがあるとき、相談できる窓口が用意されています。
お一人や家族だけで抱え込まず、困ったときには、外部に相談することも考えてみてください。
以下に、主な公的機関の相談窓口と、その特徴についてご紹介します。
市区町村役場
市区町村役場(市役所・区役所・町村役場)の中には、精神障害を持つ方からの相談を受け付けている窓口があります。自治体によって、福祉担当課や福祉課など詳しい名前は異なります。
これらの課は、障害に関する問題の総合窓口とも言える場所で、あらゆる悩みの相談に対応してもらえます。
市区町村役場で受けることができるサービス
市区町村役場の相談窓口では、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。また、精神障害の方が利用できる他の福祉サービスの情報提供や申請受付も行っています。
もし、相談内容が市区町村役場の専門外のことでも、対応できる各専門機関を紹介してもらえることがあるので、迷った場合は遠慮なく相談してみましょう。
市区町村役場を利用するメリット
市区町村役場は、幅広い内容の相談ができるので、困ったことがあるけれど具体的にどこに相談すれば良いのかが分からないときに、とても便利です。
また、市役所は日常生活上の手続きでも足を運ぶ場所なので、訪問する場合でも他の支援機関に比べてハードルが低い点もメリットです。
市区町村の規模によっては、市民センターなどにも専任相談員が在籍する相談窓口が設置されていることがあります。
関連リンク:市区町村役場検索
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、原則として各都道府県と政令都市にひとつずつ配置されている施設です。
精神障害に限らず、薬物依存症の家族相談や引きこもりなど、メンタルヘルスに関わることについても、広く相談できます。
精神保健福祉センターで受けることのできるサービス
精神保健福祉センターには、医師や看護師といった精神障害や福祉に関わるスタッフが在籍しているため、自分の障害について専門的な相談も可能です。また、障害の治療が必要な場合は、適切な医療機関の情報を提供してもらえます。
精神保健福祉センターを利用するメリット
精神保健福祉センターでは、専門的な話ができるため、相談を通して自分の障害を理解し、上手く付き合っていくことに繋がると言えるでしょう。
施設数は少ないですが、対面だけでなく、電話での相談にも応じているので、センターが自宅から遠い場所にあっても、サービスを受けることができます。
保健所
保健所は、障害に起因した不調の相談、受診に関する相談を始めとして、他にも思春期の影響で悩みを抱えている方や、アルコールや薬物依存症を抱えた方の家族などからの相談にも応じています。
面談はもちろん、電話による相談も行っています。
保健所で受けることのできるサービス
医師や保健師といった精神障害に詳しいスタッフが居るので、専門的な内容を相談することが可能です。障害を抱える本人はもちろんのこと、それを支える家族の相談にも対応しています。
また、保健師が相談者の自宅に訪問し、相談に乗ることも可能なので、自分に合った相談方法を選びましょう。
保健所を利用するメリット
保健所にいる保健師は、担当の地域が決まっています。そのため、保健師と面談をし、関係を築けば、自分の障害について詳しく把握してもらえるため、他の機会にも相談がしやすくなります。
社会福祉協議会
社会福祉協議会は社会福祉法に基づき、すべての都道府県・市区町村に設置されています。
社会福祉協議会でも障害者のための相談事業を行っています。
社会福祉士や精神保健福祉士などの相談員が精神障害を抱える方やその家族の悩みに対応します。
もちろん、障害はプライバシーに関わることですから、秘密は厳守されます。
社会福祉協議会で受けることのできるサービス
例えば、社会福祉協議会では、「どのような福祉サービスがあるのか知りたい」「仕事を始めたいが、きちんと働けるか不安がある」などといった、社会生活を送る上での悩みを相談することができます。相談方法は、主に対面や電話、自宅への訪問の3つがあります。
社会福祉協議会を利用するメリット
普段の生活に関する悩みや仕事への不安など、幅広い内容の悩みに対応するため、地域生活を送る上で不安があるときに役に立ちます。
必要があれば、関係機関との連携もしてくれる非常に頼もしい存在です。
精神科病院・クリニック
精神科の病院やクリニック、さらに休日や夜間に利用できる精神科救急の医療機関には、精神障害を専門とする医師や専門スタッフが居ます。
内科的な疾患で病院に行くときと同じように、精神科障害に伴う不調が発生したときに対処をしたり、経過を見たりしてもらえます。
精神科病院・クリニックで受けることのできるサービス
精神科病院やクリニックは医療機関なので、障害の治療や薬の処方を行います。
サポートは様々あれど、投薬などの医療行為を受けることができるのは医療機関だけです。
また、医療だけではなく、障害について分からないことがあるときに相談もできます。
精神科病院・クリニックを利用するメリット
精神的な病気の治療を専門とする機関なので、診察を受けて通院することで障害を緩和し、生活のしづらさを解消にすることに繋がります。
また、かかりつけ医を持つことで、自分の障害について把握している人がいるという安心感を持つこともできます。
地域によっては精神科病院やクリニックが多い場所もあり、自分の症状にふさわしい機関を選びやすいというメリットもあると言えるでしょう。
民生委員
民生委員は地域住民から選ばれる非常勤の地方公務員ですが、報酬のないボランティアです。
自治体によっては生活保護世帯や、高齢世帯であることの情報が渡されることもあり、また支援のなかでも個人情報を知り得ることから、当然ながら、守秘義務が課せられています。
民生委員から受けることのできるサービス
生活状況に応じた福祉サービスの情報提供や関連機関との調整、定期的な安否確認などを受けることができます。
民生委員を頼るメリット
地域に密着しているため、環境を考慮したうえでの相談を受けてもらえるのは大きなメリットでしょう。
しかし、その分、相性が合わなかったときに言い出しづらいなどのデメリットもあります。
児童相談所
自治体によっては児童相談センターなど別の名称がついていることもあります。
児童相談所・児童相談センターは0歳~18歳のお子さんについて、本人やそのご家族、学校の先生や近所の方からの相談を受け付けている行政機関です。
子どものための相談であれば、子ども本人のことだけでなく、例えばうつ病で子育てが難しく悩んでいるといった親側の相談も可能です。
児童相談所で受けることのできるサービス
児童相談所では相談はもちろん、療育手帳の判定、治療やカウンセリング、ケアプログラムなどを受けることもできます。
また、地域によっては、集会所や市民センターなどで巡回相談を実施していることもあります。
児童相談所を利用するメリット
児童相談所には児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などさまざまな専門家が在籍しており、子どもに関連する様々な相談をすることが可能です。
精神障害に関する相談で言えば、
- 発達障害や知的障害など子どもの発達に関する相談
- 障害を抱えながらの子育てに関する相談
- 精神障害で働くのが難しいなど、経済的な相談
- 知的障害者援護施設入所に関する相談や認定
- 治療に適した専門機関の紹介
- 子どもの不適切行動など育成に関する相談
などが挙げられます。
児童相談所は子どもの健やかな成長のための機関です。なにか困ったことがあれば、一人で悩まず、相談してみましょう。
まとめ
今回は行政機関と医療機関のみを挙げましたが、他にもNPO法人や一般社団法人など民間の団体が立ち上げたサポートもあります。
困りごとがあったら、相談窓口を頼ってみてください。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士