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障害年金とは

公開日:2020/02/19
  最終更新日:2024/08/22

生活保護と障害年金の関係

生活保護と障害年金

生活保護とはどういうもの?

生活保護とは、病気などで経済的に困窮している方に対して、各々に応じた保護を行うことで、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を促す制度のことを言います。
特に、精神疾患を抱えている方は治療に長い年月がかかることもあり、就労が困難な場合も多いことから、生活保護を受給しているケースがめずらしくありません。
しかし、生活保護には以下のような様々な制限が求められています。

収入制限

世帯の収入が最低生活費を超えていると、生活保護は受給できない
生活保護は何かしらの理由で働くことができない方に対して、経済的な支援を行います。また、生活保護は個人ではなく、世帯単位での収入を基準としています。
そのため、世帯自体が経済的に困窮していなければ受給することが難しくなるのです。

受診先の制限

医療機関の選択の自由
生活保護の受給者は、受診できる病院が特定されるため、さまざまな病院に柔軟にかかることが難しくなります。
特に、精神疾患の治療は病院や医師などとの相性も重要になってきます。
簡単に通院先を変更できない点は、デメリットだと言えるかもしれません。

財産の制限

生活保護の受給者は、最低限度の生活を行うことが基本とされており、その財源は税金からまかなわれています。
そのため、財産の制限が存在します。例えば、資産価値のある土地や家屋、車は所持できないとされているのです。
また、生命保険の加入やクレジットカードの利用制限もあり、ペットを飼うこともできません。

就職の制限

例えば、病状や生活環境の変化などにより、生活保護の受給者が働ける状態になることもあるでしょう。
もちろん、働きながら生活保護を受けることは可能ですが、一定額の収入を超えると、保護が打ち切りになることがあります。

障害年金について

障害年金とは、何らかの障害を持つがゆえに働くことが難しい方に、経済的支援がなされる制度です。
1級から3級までがあり、等級によって月の年金額が異なります。
生活保護と同様に、精神疾患を持つ方が受給しているケースが多いですが、生活保護とは異なる以下のような特徴を持っています。

収入制限はない

生活保護と同じく、働くことができない方に対して一定額の支給があります。
ただ生活保護と違い、世帯単位ではなく、個人を基準にしています。
そのため、世帯に収入があっても、受給が可能になるのです。

ただし、20歳前傷病については、収入額に制約があります。

障害年金の20歳前傷病とは? 押さえておきたいポイント

受診先を自由に選ぶことが可能

医療機関選択の制限なし
障害年金を受給している方は、受診先の制限はありません。そのため、自分にふさわしいと思った病院を選ぶことができます。
例えば、病院や医師との相性が合わない場合は、より良いケアを求めて他の病院を視野に入れられるのです。

精神科系の医療機関の種類と選び方

財産制限がない

障害年金に財産の制限はありません。
もちろん、土地や家屋を持っていても問題はありませんし、生命保険などに加入することもできます。
その点は生活保護と比べると、申請しやすい制度と言えるかもしれません。

就職して収入を得ることができる

障害年金をもらっていても、働くことができます。
収入が一定額を超えたとしても、制度が即打ち切られることはありません。
ですから、「体調が悪化したが、収入がなくなるから無理して働く」ではなく、「体調が悪化したら療養を最優先にする」という選択肢持っておくことができます。
ただ、一定額の収入がある場合は更新自体ができなくなることも多いとされています。

働いていても障害年金を受給できますか?

生活保護と障害年金を同時受給する際のメリットと注意点

生活保護と障害年金は、同時受給が可能です。
自分のライフスタイルや状況によっては、メリットを感じることも出てきます。
ただ、注意点もありますので、以下のポイントを覚えておきましょう。

同時受給のメリット

生活保護は世帯の収入を基準として保護費が支給されますが、障害年金は個人の病状や状況から、年金額が決定されます。
つまり、生活保護ひとつだと世帯の収入が上がった場合は、打ち切りになるケースもあるのです。
しかし、例え生活保護の支給がなくなったとしても、障害年金も受給していればそちらも打ち切りになるということは少ないので、経済的に困窮する可能性が低くなるでしょう。
また、働いている途中で病気が悪化し、仕事を辞めたとしても、当初に定められた障害年金額は次の更新時まで変わりませんので、経済的なストレスは緩和されるのではないでしょうか。

同時受給の注意点

生活保護と障害年金は同時受給ができますが、その場合は満額支給にはなりません。
先に生活保護を受けており、障害年金の受給も決まったとしても、生活保護費が障害年金額を上回るときは年金額が生活保護費から差し引かれることになるため、結果的に支給額は今までとほぼ同じになります。
一方、障害年金額が生活保護費を上回る場合は、生活保護を受けることはできなくなります。いずれにせよ、同時受給にしたからといって支給金額が2倍になるわけではありませんので、注意しておいてください。

重複期間分の生活保護費は返還になる

障害年金の遡及請求が認められた場合には、遡及期間に障害年金を貰っていた扱いとなるので、重複期間分の生活保護費は返還する必要があります。
これは、支給決定時に生活保護費を支給されていなくても、重複期間があれば適用されます。

生活保護費の返還

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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