障害年金の種類
本ページでは、それぞれの年金の対象者と、いくらもらえるのか、受給金額の目安をご紹介します。
障害基礎年金
年金の1階部分にあたる障害基礎年金は、日本に住む20歳~65歳までの人が加入対象となります。
日本では原則的に20歳以上の方は必ず国民年金に加入する必要があるからです。これには、外国籍の方も含みます。
障害基礎年金の給付対象となる被保険者は、初診日の時点で自営業や農業者、専業主婦、学生などの第1号被保険者、会社員や公務員などの第2号被保険者、第2号被保険者の扶養家族とされている配偶者である、第3号被保険者(20歳から60歳までで年収が130万円未満)で、障害等級が1〜2級に該当する方です。
その他の基本的な受給要件はすべて共通で、一定期間の年金保険料の納付、初診日の判明、障害の状態が障害等級に該当することです。
受給金額
障害基礎年金は障害等級ごとに一律となっており、令和6年(2024年)4月現在、1級は2級の1.25倍となっています。
この倍率は年度ごとに変動しますので、注意しましょう。
障害基礎年金に3級はなく、障害等級は1級と2級のみです。
- 【2級】
- 816,000円 + 子の加算
- 【1級】
- 1,020,000円 + 子の加算
加給・加算
18歳未満の子(障害が1級または2級の子は20歳未満)がいる場合は、子の加算が支給されます。
子の加算額・・・第1子・第2子 各234,800円、第3子以降 各78,300円
障害厚生年金
年金の2階部分にあたる障害厚生年金は、原則的に会社に勤めている会社員など第2号被保険者が加入する厚生年金の加入期間中に初診日があることが条件で、障害年金を受給できます。
初診日に加入していた年金制度が厚生年金だった場合に、受給できるのが障害厚生年金です。
その他の要件については、障害基礎年金と同じく、保険料の納付・初診日の判明・障害等級への該当です
受給金額
障害厚生年金は、障害等級が1級、2級、3級に分かれています。
また、障害等級が3級の場合は、障害厚生年金だけが支給されることになります。
障害等級が1〜2級の場合は、障害基礎年金と配偶者に対する加給年金も支給されます。
障害厚生年金は、収入と配偶者の有無によって受給できる金額が変動します。また、被保険者期間が300か月未満の場合は300か月加入していたとみなして計算できます。
3級は配偶者加給年金額の対象となりません。
さらに最低保障金額があり、年金加入期間が短く、障害基礎年金と合算した支給額が612,000円に満たない人でも、最低612,000円の受給が可能です。
1級・2級の場合に受給できる障害基礎年金の金額については、障害基礎年金の受給金額の項を参照してください。
- 【3級】
- 報酬比例の年金額(最低保証額612,000円)
- 【2級】
- 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額+障害基礎年金2級
- 【1級】
- 報酬比例の年金額 × 1.25+配偶者の加給年金額+障害基礎年金1級
加給・加算
配偶者の加算額・・・配偶者が65歳未満の場合234,800円
報酬比例の年金額は、『平均報酬×0.55×加入期間』で計算することができます。
障害共済年金
障害厚生年金と同じく年金の2階部分にあたる障害共済年金は、公務員や私立学校の教員が加入する共済組合の組合員であった期間中に初診日があることが条件で、障害年金を受給できます。
基本的なしくみは障害厚生年金と同じですが、障害基礎年金、厚生年金相当額に加え、職域年金相当部分が追加されるのが特徴です。
職域年金は、平成27年10月1日の厚生年金との一元化前まで、基礎年金(1階)、共済年金(2階)の上に乗る3階部分でした。
現在は、一元化以前に受給権が発生している場合、経過的職域加算額が加算されています。
一元化後に受給権が発生している場合は、職域年金に相当していた部分は、退職金に加算されるようになりました。
ただし、障害共済年金は、在職中は支給停止となり、障害基礎年金だけが支給されます。
また、障害共済年金は各共済でルールが違います。そのため、受給するまでに時間がかかることも多いので、注意しましょう。非常に提出書類が多く、1年を超えるというケースも珍しくありません。
受給金額
障害共済年金も障害厚生年金同様、配偶者や子どもがいる場合は、下の計算式に加給年金がプラスして支給されます。また、組合員月数が300か月未満の場合は300か月加入していたとみなして、計算できます。
障害共済年金は、平成27年10月からは厚生年金と一緒になりましたが、障害認定日が平成27年10月よりも前の場合は元の共済年金に請求することになるので、現在の状態がしばらく続くと考えられます。
- 【3級】
- 厚生年金相当額+職域年金相当額(最低保証額612,000円)
- 【2級】
- 厚生年金相当額+職域年金相当額+障害基礎年金2級
- 【1級】
- (厚生年金相当額+職域年金相当額) × 1.25+障害基礎年金1級
船員保険
船員を対象とする社会保険制度として船員保険というものもあり、職務上の自由や通勤災害による障害給付、遺族給付を行っています。
傷病の治癒後、障害階級が1級から7級の状態にある人、もしくは傷病が1年6ヶ月経っても治癒しない場合で、障害階級が1級から3級の状態にある人が労災保険の障害年金を受けている場合、年金額が一定の水準を下回った時に、その差額が支給されるというものです。
昭和61年4月1日の制度改正により、現在は厚生年金制度に統合され、基本は障害厚生年金と同様になります。
まとめ
以上のことから分かるように、障害年金の支給額は障害等級が高いほど多く、配偶者や子どもの有無によっても変わってきます。
初診日の時点で、国民年金のみに加入していた場合に受給できるのは障害基礎年金だけになりますが、厚生年金や共済組合に加入していた場合は、同時に国民年金にも加入していることになるため、障害等級が1〜2級であれば障害基礎年金と合わせて、障害厚生年金や障害共済年金も受け取れるので支給額が高くなります。
自営業や農業者、専業主婦、学生などの第1号被保険者は、国民年金のみの加入となりますので、障害基礎年金しか受給できません。
特に、配偶者が厚生年金(共済年金)の場合に、誤解されることが多いので、注意してください。
障害年金の種類や自分がどれくらいの障害年金を受給できるのかを知っておくと、いざ申請・受給するときにも役立ちます。精神疾患をはじめめとする傷病には、いつなるか分かりませんから、今一度、障害年金の制度について、ご自身で確認しておくと良いでしょう。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士