障害年金が支給停止になる理由について知る
障害年金は、一度支給が開始されればずっと貰い続けることができるものではなく、ときに支給停止になることがあります。
特に精神の障害の場合は、1~5年ごとに、更新を行う必要がある有期認定となることが多いため更新のタイミングで支給停止になることがあります。
では支給停止になるのはどういったときなのでしょうか。以下のようなケースが考えられます。
病状が回復したと判断されたから
障害年金は、当人が障害の状態になければ支給されません。
そのため、年金更新時に病状が緩和していたり、回復していれば、障害の状態にあるとは判断されず、支給停止の決定が下りる場合もあります。
また、主治医の診断書の記載の仕方によっては、障害の状態にないとみなされてしまうこともあるでしょう。
前回通ったからといって、今回も同様の内容になるとは限りません。
もし、更新の際に不安がある場合は、社労士への相談をおすすめします。
就労ができるようになったから
障害年金は就労しながら受給することも可能ですが、一定の収入額を超えた場合や制限なく仕事ができると判断された時には、支給停止の対象となってしまうことがあります。
20歳以後に初診日がある場合は所得制限はないものの、フルタイムで働き続けることができていたりすると、人の指導や支援を受けずとも、自立した生活を支障なく送ることができると捉えられる可能性が高いのです。
また、初診日が満20歳未満の場合には、所得により減額や支給停止の制限がかかります。
環境によっては就労しながらの受給は可能です。就労するようになったからといって障害年金を諦める必要はありません。
就労にあたって一定の配慮や制限を受けている場合は、その旨をしっかりと医師に伝えておきましょう。
障害年金が支給停止になったらどうすればいい?
症状の回復や就労の影響で障害年金が支給停止となったとしても、当人の自覚としては、不支給になるほど状態が良くなったと言えるには疑問が残る場合もあるでしょう。
また、ひとくちに就労したと言っても、障害者雇用などの就労形態で障害への配慮を受けて働いている場合や、体調不良によりほとんど出勤できていない、あるいは一般的な就業時間より著しく短い勤務しかできないなど、さまざまな状態が考えられます。
しかし、障害年金が支給停止になったとしても、再度年金を支給されるようにするための方法はあります。もしもの時のために、以下のような対応を覚えておきましょう。
審査請求を行う
障害年金の支給停止に対して、不服を申し立てるために審査請求をすることができます。
審査請求は、支給停止があったことを知った日の翌日から3か月以内に行わなければなりません。
この訴えが認められれば、支給停止がなかったこととみなされますので、引き続き障害年金の受給が可能になります。
ただ、審査請求をした審査機関に対して、支給停止が妥当ではないことを認めてもらう必要が出てきますので、当人側も相手方に納得してもらうような理由を明確に示す必要があります。
支給停止事由消滅届を提出する
障害年金が支給停止になってしまうと、すべてが終わったかのように感じてしまう方もいるかもしれません。
しかし、支給停止とは、あくまでも年金の支給が止まっている状態であって、年金を受給できる権利までもが失われているわけではありません。
そのため、障害年金を再度支給されるように求めることができるのです。これが、支給停止事由消滅届の役割です。
支給停止事由消滅届には、障害年金が停止されてから提出までの期間の制限はありません。そのため、タイミングを見ながら適切な時期に消滅届を提出することができますので、支給停止の連絡を受けた後すぐに手続きを行うことも可能です。
ただし、提出の際には主治医が作成した診断書の添付が必要となりますので、支給停止になった旨を主治医に話したうえで、自身の現在の症状や状況を再度分かりやすく説明し、相談することが求められます。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士