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障害年金とは

公開日:2020/06/30
  最終更新日:2023/02/22

神経症の病名だけでも障害年金は受け取れる

神経症の病名だけでも障害年金は受け取れる

神経症は「原則」障害年金の対象外

精神疾患には大きく分けて精神病と神経症があります。精神病は障害年金の対象であることが知られていますが、神経症は原則対象外であることはそれほど浸透していません。

障害年金の対象とならない精神障害はありますか?

うつ病、双極性感情障害、統合失調症など内因性(脳の神経伝達物質の分泌異常や遺伝要因など)である精神病に対して、神経症圏に分類される適応障害、不安障害、パニック障害、強迫性障害、身体表現性障害、解離性障害などは、心的なストレスに対する脆弱性、感受性の高さから社会的・人間的環境への適応が難しくなる心因性疾患であるといわれています。

ここでは、神経症が原則障害年金の対象外である理由と、障害年金を受け取れるケースについて説明します。

神経症が障害年金の原則対象外の理由

神経症が原則として障害年金の対象疾患から外れているのは、「一過性のものであり、自らの意思で環境を変えることにより症状の軽快が期待できるのだから、年金という長期の救済制度には馴染まない」や「年金という経済的メリットを享受することにより、自ら治す努力を喪失させてしまう」というのが建前です。
個人的には、これら自己治癒性や疾病利得の側面は否定できないものの、当てはまらない人も多く、本音は別のところにあるのでは、と想像してしまいます。

神経症の単独病名でも認定の対象となる場合がある

認定基準には、

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う
なお、認定に当たっては、精神病の病態がにICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。

厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」

とただし書きがあります。そのため、神経症で障害年金申請手続きを行う際、診断書の備考欄に精神病相当である旨と、相当する精神病のICD-10コードを医師に記載してもらいます。しかし、それだけでは不十分です。

例えば、神経症の特徴的な症状(全般性不安障害の慢性的な不安、心配、パニック障害のパニック発作など)が主訴と記載された診断書にいくら「精神病相当である」ことと「F32(うつ病のICD-10コード)」を医師に追記してもらっても、抗うつ薬が処方されていなかったり、うつ病の精神症状が記載されていないなどF32(うつ病に相当)の根拠が乏しければ、後付け感が強く、認定される可能性は低いでしょう。

認定を目指すのであれば、審査側はどのような病態だと精神病相当と判断するのか、それを踏まえて自身の病態は精神病相当なのかといったことを主治医と共有しておくなど入念な準備が必要となります。

会社に提出する診断書などは仮の病名である可能性も

診断書
当社では、相談者が適応障害などの神経症名である場合、治療の経過や内容をお伺いするとともに「病名はどうやって知ったのですか?」と質問するようにしています。
大抵は、「休職する際に提出した診断書に記載があった」や「会社に提出する傷病手当金支給申請書に書いてあった」などの回答をいただきます。
会社へ提出する診断書は、うつ病の治療をしていても適応障害、抑うつ状態、心因反応など比較的マイルドな病名や症状を記載する傾向があります。

これは、復職時に職場で偏見を持たれないようにという医師側の配慮です。
「神経症=障害年金の対象外」と早合点して申請を諦めてしまう前に、主治医へ病名について確認することをお勧めします。

同じ神経症でも比較的認定されやすいものがある

専門の社会保険労務士でも「〇〇障害は神経症なので障害年金の対象外です」と神経症を一括りにして依頼を断るケースもあるようです。
当社では、過去に解離性障害のみ(精神病の併発なし)で受給決定した例が5件あります。その他、数は少ないですが神経症性障害、不安障害でも単独病名で受給決定例はあります。神経症の病名、病態によって認定されやすいものとそうでないものがあるようです。

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医師が診断書作成を断ることも

精神科医師であれば、神経症が障害年金の対象外であることは知っています。しかし、例外があることまでは知らないことが多く、「神経症だから障害年金は無理だよ」と診断書作成を拒むことがあります。
そのようなときは、自身の神経症は精神病相当であるかを確認し、精神病相当であれば、本ページの「神経症の単独病名でも認定の対象となる場合がある」で記述した内容を伝えてみてください。理解を示し、診断書の作成に同意してもらえるかもしれません。

まとめ

神経症の単独病名でも障害年金を受け取れる可能性はあるものの、主治医とのコンセンサスが必須になるなど精神病に比べてハードルは高いといえます。ひとりで対応するのが難しいと感じたら、諦める前に専門の社会保険労務士に相談することをお勧めします。

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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