障害年金のメリットはたくさんありますが、デメリットが発生する可能性もわずかですがあります。
ここでは、障害年金を安心してお受け取りいただくため、メリットとデメリットを紹介します。
もくじ
障害年金を受け取るメリット
1経済的な不安やストレスが軽減される
これが、さがみ社会保険労務士法人の考える最大のメリットです。
障害年金はケガや病気が原因で日常生活や就労が困難な方を経済的に支える制度です。
障害等級や生計同一関係の構成人数により異なりますが2か月に1度、2か月分(10~30万円)が定期的に振り込まれます。
人によっては、数年前に遡及して年金受給権を発生させることにより数百万円の年金一時金も併せて受け取れる場合もあります。
生活費や治療費などを家族に負担してもらっている方は、少なからず負い目を感じていることでしょう。
年金という安定した定期収入は気持ちに余裕をもたらします。
これにより金銭に起因する不安やストレスは軽減されるわけですから、病状の回復にも繋がる可能性もあります。
実際に精神科医師の中には、治療効果を高めるために積極的に障害年金の受給を奨励する先生もいらっしゃいます。
2国民年金保険料の支払いが法定免除になる
障害年金の1級または2級を受給すると、国民年金の支払いは免除となります。これを法定免除といいます。
法定免除期間は半額を支払ったとみなして計算されますので、将来受け取る老齢基礎年金にも半額反映されます。
老齢基礎年金の年金額を満額にしたいときは国民年金保険料を納付することもできます。
また、過去に遡って受給権を発生させた場合、遡及して法定免除となりますので、障害認定日以降に納付済の国民年金保険料は還付を受けることができます。
例えば、障害認定日が5年前で遡及請求が認められた場合、5年間納付した国民年金保険料は還付の対象となります。ただし、希望すれば、還付を受けずその期間を保険料納付済のままにすることができます。
障害年金の受給権発生後、依頼者から受ける相談で多いのが、「法定免除にするのと、国民年金を払い続けるのと、どちらが良い(有利)ですか?」です。
障害年金受給開始の年齢やそれまでの保険料納付状況、障害状態の程度などは様々なため、一概にどちらが有利だとアドバイスすることは難しいです。
法定免除期間でも10年以内であれば遡って納める(追納)ことができるので、「しばらく法定免除で様子をみて、生活に余裕があったら10年以内の保険料を追納したらいいですよ」とお答えしています。
なお、法定免除の対象は国民年金第1号被保険者のみです。会社勤めをしている厚生年金加入者や公務員の第2号被保険者、その第2号被保険者に生計維持されている配偶者である第3号被保険者は法定免除の対象外となります。
3就労していても受け取れることがある
精神疾患での障害年金審査では、就労状況は日常生活場面のひとつと考えられることから、就労していることをもって、日常生活能力が向上した(不支給)と判断される可能性があります。
しかし、障害者雇用など一定の援助や配慮のもとに就労している場合は、障害年金を受け取りながら就労することができます。
4年金の使い道は自由
生活保護とは異なり、受け取った年金の使用用途に制限はありません。
自動車や自宅の購入もできますし、貯蓄に回すことも問題ありません。
5生活面でのサポートや治療法の選択肢が広がる
年金を活用してホームヘルパーなどの生活支援サービスを利用したり、医師の診療に加えて心理カウンセリングにも通うなど生活面や治療法の選択肢も広がります。
6受給していることが周囲に知られることはない
基本的には、特別な事情がなければ見知らぬ人はもちろん、身近な人にも障害年金の受給が知られることはありません。
例外については、よくあるご質問の「障害年金の受給を周囲に知られたくありません」でご紹介しています。
7将来の老齢年金が目減りすることはない
障害年金を受給することで、将来受け取る老齢年金が減額されることはありません。
ただし、法定免除を選択した期間については半額を支払ったとみなして計算されますので、将来受け取る老齢基礎年金にも半額反映されます。
8障害年金に税金はかからない
障害年金は非課税所得なので、他に収入がなければ確定申告を行う必要はありません。
920歳以降の障害には所得制限はない
障害年金には基本的に所得制限はありません。会社から給与を受け取っていても、所有している不動産から家賃を受け取っていても減額されることはありません。
ただし、20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、本人が保険料を納付していないことから、所得制限が設けられています。
障害年金を受け取るデメリット
デメリットは、障害基礎年金受給者本人の死亡後に妻や家族へ支給される寡婦年金と死亡一時金が受け取れなくなることです。
寡婦年金は、国民年金(自営業者等)の加入期間・免除期間が10年以上ある夫が亡くなった時に、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給される年金です。
死亡一時金は、国民年金(自営業者等)の保険料を36月以上納付した人が亡くなった場合、その方によって生計を同じくしていた遺族に支給されます。
このほかに、配偶者の扶養家族となっているケースでは、年金とその他の所得額が合計180万円を超えると、扶養範囲から外れることになります。この場合、国民健康保険などに加入する必要があります。
なお、国民年金は、障害等級2級以上は法定免除となります。
障害年金の受給にはいくつかの要件があります。ご検討中の方は、当社のスピード無料診断で自分が受け取れるかどうか確認してみましょう。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士