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障害年金とは

公開日:2020/09/01
  最終更新日:2023/08/07

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(新ガイドライン)とは

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(新ガイドライン)とは

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(新ガイドライン)

平成28年9月に施行された「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」により、精神疾患による障害年金審査に大きな変化がありました。
略して「新ガイドライン」と呼ばれており、当サイトの事務所紹介などでもたびたび出てきます。

新ガイドライン制定の経緯

平成26年ごろ、障害基礎年金の等級判定が都道府県によって最大6倍の地域差があることが報道されました。
当時は都道府県ごとに認定が行われており、その認定の基準が各自治体ごとに異なっていたために起こったことであると考えられます。

以下は都道府県別の不支給割合の表です。

都道府県 決定件数 不支給件数 不支給割合
北海道 5,127 595 11.6%
青森 1,313 136 10.4%
岩手 1,294 93 7.2%
宮城 1,706 97 5.7%
秋田 971 109 11.2%
山形 944 60 6.3%
福島 1,556 199 12.8%
茨城 1,988 462 23.2%
栃木 1,425 56 4.0%
群馬 1,389 123 8.9%
埼玉 4,671 759 16.3%
新潟 1,825 96 5.2%
長野 2,030 118 5.8%
千葉 4,629 565 12.2%
東京 7,700 797 10.3%
神奈川 6,312 455 7.2%
山梨 645 79 12.2%
富山 787 67 8.6%
石川 995 67 6.7%
岐阜 1,494 129 8.6%
静岡 2,775 266 9.6%
愛知 4,906 631 12.9%
三重 1,481 125 8.4%
福井 565 49 8.7%
滋賀 1,031 168 16.3%
京都 2,031 251 12.4%
大阪 6,865 964 14.0%
兵庫 4,265 957 22.4%
奈良 1,181 197 16.7%
和歌山 945 121 12.8%
鳥取 564 78 13.9%
島根 641 42 6.5%
岡山 1,575 215 13.7%
広島 2,427 469 19.3%
山口 1,226 260 21.2%
徳島 684 43 6.2%
香川 707 61 8.6%
愛媛 1,451 139 9.6%
高知 759 73 9.7%
福岡 4,403 735 16.7%
佐賀 808 185 22.9%
長崎 1,369 163 11.9%
熊本 1,730 169 9.8%
大分 1,058 258 24.4%
宮崎 1,126 82 7.3%
鹿児島 1,718 237 13.8%
沖縄 1,932 340 17.6%
計(平均) 99,021 12,339 12.5%

このうち、不支給割合の低い上位と高い10県(11県)は以下のようになります。

都道府県 不支給割合
栃木 4.0%
新潟 5.2%
宮城 5.7%
長野 5.8%
徳島 6.2%
山形 6.3%
島根 6.5%
石川 6.7%
岩手 7.2%
神奈川 7.2%
都道府県 不支給割合
大分 24.4%
茨城 23.2%
佐賀 22.9%
兵庫 22.4%
山口 21.2%
広島 19.3%
沖縄 17.6%
奈良 16.7%
福岡 16.7%
埼玉 16.3%
滋賀 16.3%

栃木県の4.0%と、大分県の24.4%と約20%もの開きがあることが分かります。
言い換えると、栃木県では25人に1人が不支給であるのに対し、大分県では約4人に1人が不支給であったということです。
そう考えると、この地域差はかなり深刻なものであったと言わざるを得ないでしょう。

認定基準そのものが別だったわけではなく、その時点で、ガイドラインはありました。
大きなばらつきの原因となっていたのが、精神障害における「日常生活能力の程度」の目安の差です。

当時の時点で評価は以下のような基準となっていました。

(1)
精神障害(知的障害)を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)
精神障害(知的障害)を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
(3)
精神障害(知的障害)を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4)
精神障害(知的障害)を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5)
精神障害(知的障害)を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

不支給割合の高い県では、「日常生活能力の程度」が概ね(3)~(4)相当を目安としているのに対し、不支給割合の低い県では(3)相当であることが障害基礎年金を支給する目安となっていました。
さがみ社会保険労務士法人のある神奈川県も比較的、申請の通りやすい県に該当していました。

この状態を重く見た厚生労働省は8回の専門家会議を経て、統一の等級判定ガイドラインを策定。審査が東京に一元化されました。
これによって不支給の少なかった地域では一気に支給のハードルが上がりました

新ガイドラインによる障害等級の目安

以下が新ガイドラインによる障害等級の目安です。
新たに食事や身の回りの保清、買い物などの項目に細分化された「日常生活能力の判定」の平均値と「日常生活能力の程度」の組み合わせが目安になります。
縦軸の「日常生活能力の判定」は軽い方から1~4とし、横軸の「日常生活能力の程度」は(1)~(5)となっています。

障害基礎年金支給となる「日常生活能力の程度」の目安が(3)あるいはそれ以上と、前項の不支給割合が高かった地域の目安となっていることが分かります。
つまり、より受給しづらい方に統一されたということになります

日常生活能力の程度→
↓日常生活能力の判定
(5) (4) (3) (2) (1)
3.5~ 1級 1級
または
2級
3.0~3.5 1級
または
2級
2級 2級
2.5~3.0 2級 2級
または
3級
2.0~2.5 2級 2級
または
3級
3級
または
3級非該当
1.5~2.0 3級 3級
または
3級非該当
~1.5 3級非該当 3級非該当

日常生活能力の判定

日常生活能力の判定は、(1)適切な食事、(2)身辺の清潔保持、(3)金銭管理と買い物、(4)通院と服薬(要・不要)、(5)他人との意思伝達及び対人関係
、(6)身辺の安全保持及び危機対応、(7)社会性の7項目に分かれていて、状態に応じて以下の4段階から選ぶようになっています。
(項目によって少し表記が異なります)
上記の障害等級の目安はこの(1)~(7)の平均値が縦軸になっています。

できる
おおむねできるが、ときには助言や指導を必要とする
助言や指導があればできる
助言や指導をしてもできない もしくは行わない

障害年金の日常生活能力の判定基準を知っておこう

新ガイドラインの弊害

さがみ社会保険労務士法人のある神奈川県も、不支給割合の低い県であり、審査は比較的ゆるやかでした。

新ガイドラインの適用によって、従来の診断書の内容では支給されづらくなったわけですが、これについて診断書を作成する医師に向けて詳しい説明が行われたわけでもありません。

つまり、新ガイドラインでは2級不該当の方に対し、今までの経験から「ほぼ確実に受給できますよ」と伝えてしまいトラブルになったり、実際は2級該当している方に対し、「このくらいの内容にしておけばいいだろう」と軽めの内容で書いてしまい、不支給となってしまったというようなケースが発生するようになってしまったのです。

障害年金の診断書は、医師にとって日常的に書くものではありませんし、医師は障害年金の専門家でもありません。
そのため、施行から6年が経つ現在でも、このことを知らずにいる医師は多くいます。

新ガイドラインを知らなかったため軽めに書かれた診断書で、本来なら2級相当であると思われる方が不支給となり、当社へご相談いただくこともあります。
このことを考えると、相談先がなく同様のケースで受給を諦めている方もいるのではないでしょうか。

一応、精神科医用の記載要領はあります。ただ、ほとんど知られていません。
認定基準を知らず、医師の物差しで診断書を作成された場合には、この厚労省発行の「記載要領」から抜粋して医師に根拠を示しながら診断書記載内容を再検討してもらっています。

新ガイドライン前の実績は、社労士選びの参考にならない

当社は平成28年2月開業の事務所であるため、実績件数のほとんどは新ガイドライン施行後のものであり、受給率は新ガイドライン施行後のものになります。
古い社労士事務所などは、新ガイドライン施行前の実績を組み込んで「受給率◯◯%」と表記している場合があります。
しかし、受給率の低かった地域はともかく、受給率の高かった地域における◯◯%は現在においては全く参考になりません。

新ガイドライン制定の経緯の項にある表をご参照いただき、ご自身が依頼を考えている社労士事務所の受給率が信頼できるものであるか、ご確認ください。

信頼できる社労士の選び方

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
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社会保険労務士・精神保健福祉士

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