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障害年金とは

公開日:2020/10/20
  最終更新日:2024/01/11

成年後見制度・いざという時に知っておきたいこと【前編】

成年後見制度~財産や権利を守るために~

成年後見制度について

お金を守る男性
成年後見制度とは、平成12年に開始された制度で、判断能力が不十分な方が自身の財産の管理や重要な契約などを行う際に、後見人が代理することで、利用者の権利を守り、保護をするというしくみです。
制度を利用できる対象者(被後見人)は、認知症や知的障害を持つ方のイメージが強いかもしれませんが、器質性精神疾患や統合失調症などをはじめとする精神障害がある方も対象となっています。

また、身体障害は成年後見制度を利用できる対象者には含まれていません。なぜなら、成年後見制度の目的は、判断能力が低下している人のためのものだからです。
身体に障害があって、意思表示が難しい場合でも判断能力がある場合は対象外となるのが、現在の基本です。

平成12年以前にも、成年後見制度と似た制度がありましたが、それには利用した事実が公開され、戸籍にも記載が残るという問題点がありました。
戸籍には他の家族も記載されているため、制度の利用を家族から反対されるケースが散見されたようです。
成年後見制度は、戸籍への記載がなくなり登記される形に変更となったため、以前よりも利用がしやすくなりました。

また、成年後見制度の種類は、以下の2つに分けられます。

任意後見制度

任意後見制度とは、今すぐではなく、将来対象者の判断能力が不十分になった時に備えて、自分の判断能力があるうちに、後見人と契約を結んでおくというものです。
後見人となる人は、事前に信頼できる人に頼んでおくことができます。

任意後見制度の場合は、依頼をする側のことを委任者と言い、依頼を引き受ける側のことを任意後見受任者と呼びます。
契約の際には、両者の間で必ず公正証書をもって、契約の締結を行う必要があります。

法定後見制度

法定後見制度とは任意後見制度と違い、すでに判断能力が不十分な方に対して、裁判所に申し立てることによって、後見人が選ばれます。
その際に選ばれた後見人が、法的に対象者の財産管理や契約などを代理で行います。

さらに、法定後見制度は、3つの種類に分類されます。

法定後見制度には3つの種類がある

法定後見制度は、対象者の判断能力の違いによって、後見人ができる仕事の範囲が異なります。
その対象範囲を、以下にご説明します。

①後見

後見とは、判断能力がほとんどない方が対象となります。裁判所に申し立てができる人物としては、本人を始め、その配偶者や4親等以内の親族、市町村長などです。

後見において、後見人はすべての法律行為を代理で行うことができます。これを代理権といいます。
また、財産の管理や必要な福祉サービスの契約、対象者にとって不利な契約を結んでいないかなどを判断するとともに、不要な契約を取り消すこと(取消権)もできます。
対象者に役立つサービスの同意(同意権)をしたり、そのために必要となる財産の管理をし、対象者の財産の保護や権利を守ることを大切にしています。

②保佐

保佐とは、日常会話や買い物程度はできるものの、重要な財産管理などの判断能力が乏しい方が対象です。
裁判所に申し立てができる人物は、本人を始め、配偶者や4親等内の親族、市町村長など、後見の際と同様となります。

保佐の場合は、同意権や取消権を持ちますが、後見の場合と違い、財産に関わる重要な案件のみ認められます。
その他の代理についても、対象者が希望した事柄については、申立によって後見人が代理をすることが可能です。

③補助

補助とは、自分で物事を決断する自信がなく、重要な判断をすることは難しい方が対象です。
補助の申し立てができるのは、後見や保佐と同じく、本人やその配偶者、4親等内の親族、市町村長などとなります。

補助の場合は同意や取り消しを行う権利がありません。
対象者が希望した場合は、申立により同意権・取消権・代理権およびその範囲が認められます。

法定後見制度の3類型まとめ

上記で述べた後見、補佐、補助の違いを表でまとめると以下のようになります。
申立によって付与された権利は、再度の申立により無くすことも可能です。

後見
対象:判断能力がほとんどない方
権限:代理権・同意権・取消権
補佐
対象:重要な財産管理などの判断能力が乏しい方
権限:同意権・取消権 / 代理権は申立による
補助
対象:重要な判断をすることは難しい方
権限:代理権・同意権・取消権ともに申立による

後見・保佐・補助に該当しなくても、成年後見制度を利用できる場合もある

社会福祉協議会での相談
後見・保佐・補助の対象となる方は、ある程度重い障害がなければダメだと思っている方もいるでしょう。
しかし、成年後見制度は前述の対象の範囲に当てはまらない場合(状態が軽いとき)でも、必要があれば利用できるケースもあります。

もちろん、本人が成年後見制度を利用したいという気持ちがある点は重要です。
そのうえで、医師の診断書があれば対象になることも少なからず存在しますので、判断に迷っている方は、主治医や弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士、精神保健福祉士などの専門家に一度相談してみることをおすすめします。
団体としての相談先には法テラスや地域包括支援センター、社会福祉協議会などがあります。

後見人は対象者の代理をすべて行えるわけではない

成年後見人ができること
後見人は、対象者の権利を守るためにさまざまな代理をしますが、行うことのできないものもあります。
原則的に後見人は、対象者の預貯金の管理や障害年金などの受領、生活費の支払いなどを代理します。また、金銭に関すること以外にも、本人のためになる福祉サービスの契約などを行い、対象者の生活を支える役割を持っています。
しかし、代理できるのはあくまでも間接的なサポートであって、直接的に介護をしたり家事を代行したりなどのことはできません。

また、以下の事柄も後見人が代理することはできないので、覚えておきましょう。

  1. 1.医療行為の同意(手術の有無や薬物管理など)
  2. 2.遺言
  3. 3.身元保証人や身元引受人などになること
  4. 4.対象者の住居を定めること
  5. 5.婚姻や養子縁組、認知などの代理

前編では制度の概要をご紹介しました。
後編では、後見人になれる人、成年後見制度の手続き、必要な費用、具体事例についてご紹介します。

成年後見制度・いざという時に知っておきたいこと【後編】

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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