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障害年金とは

公開日:2021/03/30
  最終更新日:2024/03/22

うつ病の方が受ける社会生活での不利益とその対応策

うつ病の方が受ける社会生活での不利益とその対応策

うつ病による社会的不利益

うつ病にかかると、気分の落ち込みや、思考力の低下など、日常生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、社会生活でも不利益を被ることがあります。
ここでは、障害年金受給資格の有無に関わらず、うつ病の人が社会生活において想定される不利益と、その不利益を回避するための方法について解説します。

キャリア形成に影響することがある

即座に解雇はできない

うつ病であることが会社に知られると、「解雇になるのでは」とか「労働条件が(不利益)変更になるのでは」と心配になりますよね。
前提として、日本の労働法令では、うつ病を理由に会社側は即座に社員を解雇や労働条件の不利益変更はできません。

社員がうつ病であると会社側が知った際、会社は

  • (軽度の場合)業務負担を減らす、配置転換するなどの合理的配慮の提供
  • (中度~重度の場合)休職の勧奨

などの対応を行うことが求められています。

会社側が解雇にできる例としては、就業規則に定められた休職期間を満了してもなお、復職(労務に服すことが)できないと医師が判断した場合などに限られています。これらの手順を踏まずに解雇となった場合は、不当解雇となる可能性があります
さらに、長時間労働・パワハラ・セクハラなど、うつ病の原因が職場環境にある場合は、復職できないことを解雇の理由とすることはできません。減給など、会社側による一方的な不利益変更に関しても制限されています。

しかし、ブラック企業では、法令を無視して解雇や減給などを迫られることも有り得ます。
うつ病に罹患する人は真面目な方が多く、「会社に迷惑をかけている」という自責の念から受け入れてしまうかもしれません。
うつ病になると、思考力が低下し、適切な判断が難しくなります。もし解雇や減給などを迫られたら、一人きりで悩まず、労働局、弁護士や特定社会保険労務士に相談してみてください。

キャリア形成と治療のバランス

うつ病とキャリア形成一方で、解雇や減給など極端な例ではなく、管理職への昇格が難しくなるなど、今後のキャリア形成に影響することは考えられます。
「昇進うつ」や「出世うつ」と呼ばれるように、部下を持つことによる人間関係のストレス、予算達成へのプレッシャーなどがうつ病発症の原因になることはよく知られています。
元々うつ病を抱える社員に対して、新たな重責を背負わせることは会社、社員の双方にとって大きなリスクとなります。
うつ病が悪化すれば、先ほども述べたように、休職・解雇に繋がってしまうこともあります。

障害年金を受けとりながら就労を継続する方法もあります。

障害年金を受けとりながら働く障害者雇用という選択(前編)

医師と相談し、キャリア形成とうつ病の治療のバランスをどうとっていくのかを考えてみてください。

生命保険に加入できないことがある

うつ病だと入れない生命保険がある通常は、生命保険の加入時に、病歴の告知を求められます。告知では、過去にうつ病を含めたメンタルの不調で医師の診察を受けたかどうかの質問に回答します。その際、うつ病の治療中であることや、既往歴(5年以内)があると回答すれば審査に通らない可能性が高くなります。

だからといって、「精神科に通院していることを言いたくない」「黙っていればバレない」、などと事実と異なる回答をすることは危険です。
もしも、契約締結後に告知義務違反が発覚すれば、契約解除や、支払事由が発生しても保険金を受け取れないことがあるからです。
なお、治療を経て寛解し、5年以上通院、服薬が無い場合は、告知義務はありません。また、保険契約後にうつ病を発症した場合も告知義務はありません。

万が一に備える生命保険に加入できないのは不安ですよね。もちろん、うつ病の方でも入りやすい保険は存在します。
例えば、告知項目の少ない「引受基準緩和型医療保険」、告知項目がない分、給付金に制限のある「無選択型保険」、がんの治療に保障対象を絞った「がん保険」などです。
うつ病になっても、全ての保険加入が不可になるわけではありませんので、それらの入りやすい保険を探してみてください。

住宅ローンが組めないことがある

うつ病だと住宅ローンが組めないことがある住宅ローンを利用する際にハードルとなるのは、「団体信用生命保険」に関することです。「団体信用生命保険」(以下、「団信」)とは、住宅ローンの契約者が返済期間中に死亡や、高度障害を負ってしまった際、保険金によって住宅ローン残高が完済される保険です。金融機関は、債務を回収できないリスクを避けるために、「団信」への加入を条件とするところがほとんどです。

「団信」の加入時も、一般的な生命保険と同様に病歴の告知があります。その際、うつ病の治療中であることや、過去一定期間内(3年が多い)に「通院、服薬したことがある」と回答すれば審査に通らない可能性が高いです。
こちらも、一定期間内に通院、服薬の実績がなければ告知義務はありません。

うつ病を抱えていても住宅ローンを組む方法はあります。例えば、「団信」よりも条件が緩和している「ワイド団信」付きの住宅ローンです。「ワイド団信」付きの住宅ローンは、金利が上乗せされますが、健康上に理由でこれまで「団信」に加入ができなかった方でも審査に通る可能性があります。
また、金融機関の住宅ローンに住宅金融支援機構が保険を付けた全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」は、「団信」に加入することを要件としていません。

最後に

会社員の方でしたらキャリア形成についてがもっとも気になるところではないでしょうか。
しかし、うつ病は誰でもかかる可能性があり、決して特別な病気ではありません。うつ病の症状を軽快させる第一歩は体と心を休ませることです。
無理をせず、まずは医師の意見を求めることをお勧めします。経済的不安も大きいと思いますので、休職や退職を決める前に、利用できる社会保険制度(傷病手当金、障害年金、雇用保険の失業給付など)を調べておくと安心です。

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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