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障害年金とは


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公開日:2020/02/21
  最終更新日:2024/08/20

障害年金の対象となる精神の障害

障害年金の対象となる精神疾患とは

1. 障害年金の対象となる傷病名とは

障害年金には、対象となる傷病名原則として対象外となる傷病名があります。
今回は、どのような傷病名がつけば障害年金の対象となるのか、具体例を挙げて解説します。
本ページでは主に精神の障害についてご紹介します。

なお、対象外の傷病名でも、受給できることもあります。
診断名だけで諦めず、まずは一度、専門の社会保険労務士への相談をおすすめします。

障害年金の対象とならない精神疾患

身体障害の場合

視力や聴覚、肢体不自由の障害など。
内部疾患の場合は、糖尿病や呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、血液・造血器疾患、がんなど

知的障害の場合

軽度知的障害から重度知的障害
対象となるIQの目安は70とされています。

知的障害(精神遅滞)の認定基準と留意点

精神障害の場合

精神障害の場合は、以下のような世界保健機構が設定した疾患名(ICD-10)に該当しているかによって、判断されます。

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分障害

(1)統合失調症(F20)
妄想型統合失調症
破瓜型統合失調症
緊張型統合失調症
鑑別不能型統合失調症
統合失調症後抑うつ
残遺型統合失調症
単純型統合失調症

統合失調症の認定基準と留意点

(2)うつ病・躁うつ病(気分障害)(F30~39)
躁病エピソード
双極性障害
うつ病エピソード
反復性うつ病性障害
持続性気分(感情)障害
気分循環症
気分変調症
その他の持続性気分(感情)障害
持続性気分(感情)障害、詳細不明

関連記事:気分障害(うつ病)の認定基準と留意点
気分障害(躁病・双極性障害)の認定基準と留意点
気分障害(持続性気分障害・気分変調症)の認定基準と留意点

症状性を含む器質性精神障害

(1)症状性を含む器質性精神障害(F00~03)
アルツハイマー病の認知症
血管性認知症
他に分類されるその他の疾患の認知症
詳細不明の認知症
(2)高次脳機能障害(F04、06、07)
器質性健忘症候群、アルコールその他の精神作用物質によらないもの
脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害
脳の疾患、損傷及び機能不全による人格および行動の障害
(3)その他(F09)
詳細不明の器質性又は症状性精神障害

器質性精神障害(症状性を含む)の認定基準と留意点

てんかん(G40)

局在的に発症する発作を伴う(巣状)(部分)特発性てんかん及びてんかん(性)症候群
単純部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群
複雑部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群
全般性特発性てんかん及びてんかん(性)症候群
その他の全般性てんかん及びてんかん(性)症候群
特殊なてんかん症候群
大発作、詳細不明(小発作を伴うもの又は伴わないもの)
小発作、詳細不明、大発作を伴わないもの 
その他のてんかん
てんかん、詳細不明

てんかんの障害認定基準と留意点

発達障害(F80~89)

会話及び言語の発達障害
学習能力の特異的発達障害
運動機能の特異的発達障害
混合性特異的発達障害
広汎性発達障害
その他の心理的発達障害
詳細不明の心理的発達障害

発達障害の認定基準と留意点

対象外はあくまで「原則」

精神障害の中には、適応障害やパニック障害などの神経系疾患やパーソナリティー障害(人格障害)を抱える方も少なくありません。
これらの障害は原則的に障害年金受給の対象にはなりません。
また、ICD-10の障害分類に、自分の疾患が該当するか分からないという方も多いことでしょう。

しかし、精神疾患の場合、医師から伝えられた病名が実際に医師が認識している病名とは異なることもあります。社会復帰を前提として軽い傷病名で伝えている、本人のショックを和らげるため別の傷病名で様子を見ているというような場合です。本当は該当するのに、自己判断で済ませていてはもらえるものがもらえないという状況に陥る可能性もありますので、主治医や社会保険労務士に相談してみることをおすすめします。

神経症の病名だけでも障害年金は受け取れる

障害年金受給者はなぜ精神障害が多い?

障害年金受給件数を傷病別に見ると、精神障害は突出しています。
なぜ、精神障害の受給率が高いのでしょうか。それは、精神障害の特徴に原因があるといわれています。
精神疾患は原則的に、治療をすれば短期間で回復するという病気ではありません。服薬を中心に、必要があればカウンセリングや社会復帰への訓練など多角的なケアが必要となります。つまり、その分だけ時間がかかりますし、治療中は就労が制限される場合も少なくありません。そのため、日常生活を送るうえでの負担が大きくなる可能性が否めないのです。
そのような問題を解決するためには、障害年金の存在が大きな力となります。障害年金を受給することで、経済的不安が緩和され、治療に専念する環境を作ることが可能になります。

2. 精神障害で障害年金の受給対象となった場合の事例

竹下さん(仮名) 30代女性のケース

竹下さんは、仕事のストレスで21歳の時に眠れない、不安感が強くなるなどの症状が現れ、精神科を受診したところ、うつ病の診断がなされました。主に薬物療法とカウンセリングでの治療が進められ、症状は回復に向かったものの、フルタイムの仕事を続けるほどの体力は失われたため、会社を退職。その後、症状が治まった時は短時間のアルバイトをしながら過ごしていました。
26歳の頃までアルバイトを転々としながら、病院に通院していましたが、結婚を機に専業主婦となります。しかし、結婚後もうつ病の症状は持続し、家事をこなすのも大変な状態に陥りました。そのような竹下さんを見て夫はイライラし、夫婦関係も徐々に上手くいかなくなり、最終的には31歳の時に離婚。その後実家に戻り、両親とともに過ごすようになりました。
実家に帰っても、繰り返しうつ病を発症していた竹下さんは、病気の影響で仕事を続けることがなかなかできませんでした。しかし、同居している両親も年金暮らしのため、経済的に負担はかけたくありません。ただ、安定した収入がないと、治療にも専念できないことになるため、竹下さんは主治医に相談してみました。
竹下さんの診断名はうつ病で、ICDのうつ病・躁うつ病のカテゴリーに該当するため、障害年金の申請を提案され、手続きを行うことにしました。約3ヶ月後に障害年金の受給が決まり、竹下さんは障害年金を生活費や医療費に当てながら、無理をすることなく治療を受けています。

社会保険労務士 小西 一航
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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