連載第2回は、明谷さんのクリニックでのお仕事についてお伺いします。
クリニックでのお仕事内容
一般的にPSWの業務というと、相談支援が多いイメージなのですが、明谷さんのお仕事はもっと幅広いとお伺いしました。
具体的に、どういったお仕事を担当されているのでしょうか。
大きく分けて、相談支援、デイケア、訪問看護、マネジメント業務の4つになります。
相談支援
他の仕事もされつつ、相談支援もやってらっしゃるんですよね
はい、「相談支援」は今、担っている仕事のなかではいちばんのメインになるかなと思います。
クリニック・デイケアで当院に通院されている患者様と、関係機関など外部の方との連携がメインの仕事になってきます。
外来に来られた患者様が、先生の診察を終えたあとに「ちょっとこの制度分からないんだ」とか「こんなことで困ってるんだけど、解決方法はないかな」といったときに、私の方からご説明をしています。
いちばん多いのは、経済的な相談です。「通院の医療費が高くなってしまう。なにか医療費を抑える制度はないか」といった相談を多く受けます。こういった場合は自立支援医療制度や障害者手帳や障害年金といった制度をご案内しています。
ほかにも、働くための窓口や日常生活などについて、広く社会資源に関してのご案内したり、ご家族や対人関係における悩み事など、生活全般に関する相談も受けています。
外部の方との連携のお仕事はどういったことをされるのですか?
外部との連携の例としては、計画相談をご利用中の方のケア会議という場で、ご本人の病状や飲んでいるお薬などの治療に関する情報を、出向くのが難しい医師に代わってクリニックの窓口として、お伝えしています。
もちろん、これは患者様の同意を得た上で行われます。
デイケア
デイケアも担当されているとお聞きしましたが、精神科のデイケアとはどういったものなのでしょうか
デイケアはあまり一般に馴染みがないかもしれませんが、精神科のデイケアは主にリハビリテーションの位置づけになります。
日中にご自身で通ってきていただき、プログラムを実施してご帰宅いただくというのが流れになります。
ここでの業務は、プログラムの運営・デイケア利用者の個別面談あたりがメインになってきます。
デイケアプログラムのスタッフも担当しています。
デイケアの詳細については、次回(第3回)で紹介させていただきます
訪問看護
訪問看護と聞くと、看護師のイメージが強いのですが、精神保健福祉士はどのような関わり方をしていくのでしょうか
「精神科訪問看護」というものがありまして、看護師と他職種や精神保健福祉士が一緒に訪問して、ご自宅での悩みや困りごとを伺わせていただきます。
看護師に同行して、体調や薬などについての医療面を看護師がヒアリングし、「こんな手続きがしたい」「家事ができなくなってきた」といったお話を伺って、その手続方法をお伝えしたり、家事をサポートしてもらえる福祉サービスの案内をしたりと、福祉的な部分を担当します。
あとは、すでに利用されている福祉サービスに関する、連絡調整もすることがあります。
職種が変わると視点も変わってきますから、その方の生活をいろんな面から支えていけると思います。
訪問看護の利用者さんは、どういう方が多いのでしょうか
主に通院が難しい方や、日中の外出ができない方、ご家族の負担が重くなっている方が多いです。
利用者がサービスを受けにやってくるデイケアとは反対に、サポート側が利用者のところに赴くというイメージが分かりやすいかと思います。
どのくらいの頻度で利用されるものなのでしょうか
多いのは週1回の方がいちばん多いです。月1回の方、2週に1回の方もいらっしゃいます。
訪問看護にも自立支援医療が使えるのでしょうか
はい。ご利用いただけます。
看護師と他職種の2名で訪問する場合、負担額としては1回あたり1,000円程度かかります。
自立支援を利用せずに、健康保険だけですと3,000円くらいかかることになりますね。
1回の訪問での滞在時間はどのくらいですか?
だいたい30分~60分程度です。
マネジメント業務
マネジメント業務もされているとお伺いしましたが、こちらは具体的にどういった業務内容なのでしょうか
現在は当法人の人事含め職員のマネジメントを担当しております。 精神保健福祉士の業務と直接重なる部分ではありませんが、精神保健福祉領域のスタッフは、入れ替わりが多いと思っていまして、利用者さんからも「スタッフが変わることが多い」というお話をよく聞きます。
そうですね、「精神保健福祉士さんがよく変わる」というような声は、我々も耳にします。
対人面で不慣れな方の相談相手が短期間で変わるというのは、私としては、重たい事態だなと考えています。
利用される方が信頼した相手に相談できて、安心して医療を受けられるためには、スタッフが働きやすい環境をつくって、長く働いてもらう必要があるなと思います。
そういった視点も持ちながら、マネジメント業務にも力を入れています。
当法人は開設してまだ5年ですが、様々な経験を重ね、信頼できるスタッフが在籍しておりますので、今いるスタッフにこれからずっと長く働いていってもらいたいなと思っています。
本コーナーは、ユニークなアプローチで精神医療に取り組む医療・福祉従事者といった「精神科領域で活躍するプロフェッショナル」をご紹介し、メンタルの不調を抱えた方の選択肢を広げてもらおうというコンセプトのもと作成されています。
個人の紹介を目的としており、特定の医療機関への受診を促すものではありません。