医療従事者・福祉従事者の方などの「精神科領域で活躍するプロフェッショナル」への取材を行い、そのユニークなアプローチをご紹介するこのコーナー。
今回も引き続きKOKORONEメンタルクリニック院長の龍田 哲行先生にお話をお伺いします。
第1回と第2回は、それぞれ開業のきっかけや開業に向けてのお話をご紹介しました。
今回は、施設のコンセプトについてお伺いしていきます。
施設のコンセプトについて
敷地や施設についてのこだわりや、コンセプトについて教えていただきたいです。
自然を感じることはメンタルに良いので、自然を多く感じられる施設にしたいと思いました。
以前の仕事環境との違いを、先生ご自身が感じられることはありますか?
そうですね……、もともと僕自身が居心地のいい環境にしたかったっていうのがあります。以前の診察室は壁に囲まれて、窓がひとつもなかった。壁しかなくて、息が詰まりそうでした。
その頃から、居心地のいいクリニックの環境は、具体的なビジョンがあったんでしょうか
いえ、いきなりこのイメージがあったわけではないです。
クリニックを作るって意識をすると、町中のクリニックに目が行くようになるんです。けど、なんでみんなこんな「ザ・病院」みたいな感じになっているんだろうなっていうのがあって。
別に病院とかクリニックってこういう造りじゃなくてもいいんじゃないかって思ったんですよね。もうちょっと居心地が良かったり、メンタルに良いとされているものを取り込んだ環境にしたいなと。
今、ここでは音楽、ジャズなんかも流しているんですけど、前の病院のフロアでも同じような提案をしたことがあったんですよ。みんながご飯を食べているとき、無音でカツカツと箸だけが鳴ってる。こんなところで、美味しく食事ができるのか? と思って、協力してもらって音楽を流したりもしたんですけど、結局いつの間にか終わってしまった。
そういった、「もっとこうだったらいいのに」というのを、なるべく全部形にしました。
待合室もおしゃれで、落ち着いていて、居心地が良さそうです
普通の病院だとみんな長椅子に座ってじーっと壁とか受付に向かって待ってますよね。
ここの待合室は中を向くより、外を見られるようにしてあるんです。さらにその視線の先には緑が多くなるようにしてます。
隣とかに落ち着ける場所があって、ゆっくりコーヒーを飲みながら待ってたりできてもいいんじゃないかと思って、待合室だけじゃなくて、カフェでもお待ちいただけるようになっています。
テレビはあえて置いていません。もちろん、情報を得るためにニュースを観ることは必要なんですけど、テレビをBGM代わりにつけているっていうのは、メンタルにとても悪影響なんですよ。
特にニュース番組って、良いことはあんまりニュースにならない。それをBGM代わりにしているってことは、ネガティブな情報を常に浴びているという状況になってるんです。
カフェが隣接していることもあり、通いやすい工夫がされているなと思いました。「精神科へのハードル」を下げるための来院のしやすさなども重視されたのでしょうか?
本コーナーは、ユニークなアプローチで精神医療に取り組む医療・福祉従事者といった「精神科領域で活躍するプロフェッショナル」をご紹介し、メンタルの不調を抱えた方の選択肢を広げてもらおうというコンセプトのもと作成されています。
個人の紹介を目的としており、特定の医療機関への受診を促すものではありません。
また、障害年金への理解がある医師だからといって、実際の症状にそぐわない診断書を作成することはありません。
障害年金の受給だけを目的に受診し、事実と異なる診断書の作成を求めるようなことは行わないでください。