新しく始まったこのコーナーでは、医療従事者・福祉従事者の方などの「精神科領域で活躍するプロフェッショナル」への取材を行い、そのユニークなアプローチをご紹介します。
「このような医療的アプローチがある」「こんなことを考えて活動している人がいる」ということをお伝えすることで、メンタルの不調を抱えた方の選択肢が増やすという目的で作成されています。
取材先と提携等をしているわけではありませんので、取材先の医療機関にかかったり、サービスを利用したからといって、当社に依頼しなければならないといったことは一切ありません。また、当社に代行依頼をすれば取材先から協力を受けられるといったこともありません。
そして、記念すべき第1回のお相手は、大磯にあるKOKORONEメンタルクリニック院長の龍田 哲行先生です。
先生は精神科のクリニックだけでなく、クリニックに隣接するカフェ、ヨガスタジオの運営もされています。患者さんだけでなく、多くの人のメンタルを良くするためのスキルを伝えるために活動しているドクターです。
今回は、開業のきっかけについて伺いました。
開業のきっかけ
カフェ・スタジオ・クリニックが同一敷地内にあることに驚いたのですが、どういった経緯で開業を決められたのですか?
秦野市にある病院に13年勤めていました。
その中で、自分なりに希望を伝えたり、決まりごとの変更をやってみたのですが、定着せず、僕のやりたい「メンタルにいい環境づくり」は実現できませんでした。
もっと頑張れば実現できたかもしれませんが、どうしても病院の中だと、僕に環境や建物に手を加える権限がなくて。
だったら、自分で形にできないかな、と何年か前から思い始めていました。
そうすると、この施設は何年もかけて構想されたものですか?
いえ、いきなり開業ありきだったわけではないんです。
むしろ、開業の5年前くらい、ちょうどPSWの中村さんが入社してきた頃は僕は仕事へのモチベーションが下がっていたんです。
もちろん、診察はしていて、患者さんのお話を聞いて、お薬を出して、薬が合わなければ変更して……っていうふうにやっていたんですけど、いまいち「何をやってるんだろう」という感じがありました。
なにか大きな転換があったのでしょうか
それが、ほんのちょっとしたことなんです。
僕は趣味でサーフィンをやっていまして、その関係の友人が、子どもたちにサーフィンを教えてるんですね。友人は僕が精神科医であることを知っていたので、「子どもたちが上達するためのメンタルのトレーニングはないの?」というようなことを聞かれたんですよ。
ただの飲み会の席での、ちょっとした話だったんですけど、でも意外とそんなことがきっかけなんです。
でも、じゃあ、それでメンタルトレーニングをやってみようとは言えなくて。スポーツでメンタルを安定させたり向上させたりっていう知識が当時の僕にはなかったんです。
それで、まずは自分が勉強してみようと、まずは本屋さんに行きました。
スポーツのコーナーを覗いてみたんですが、びっくりするくらいメンタルの本がなくて。でも、そこから、あるものを手に取って、毎日読むようになりました。
最初はスポーツメンタルを学ぼうとされていたんですね
そうですね、最初はスポーツからでしたが、すぐに本のジャンルは広がっていきました。精神科に特化した本を読もうとしたわけではなく、「メンタルを良くする」というのは、何を良くすることなのか、そういった知識を純粋に自分が知りたかったんです。アスリートのメンタルを良くすることと、患者さんの日常生活のパフォーマンスを良くするために、薬以外の部分で知識やスキルを身につけることに違いはないんじゃないかと思って。
そこから、ある程度科学的に正しいとされていることをまとめて、患者さんに伝えていこうと思うようになりました。
さらに、病院内では患者さんを良くするために、医師以外のスタッフも関わりますよね。そのスタッフのメンタルを良くするためにも、この知識やスキルを伝えていこうと病院内で色々やるようになりました。
その頃は勤務先病院内での実践を考えてらしたんですね
診療の中で、「薬物療法以外にどんなことを良くして、どんなことを意識すればいいのかっていうことを聞く場所がない」っていう話を、患者さんから言われるようになったんですよね。
だったら、そういうメンタルを良くするための知識やコツを伝えられるような場所があったらいいんじゃないか、というふうに思うようになったんです。独立して、そういう場所を作って対応しよう、と。
それが2年くらい前ですね。
2年間、開業に向けて動いてらしたんですね
そうですね。そのあたりから具体的に開業できたらいいなと思い始めて、いろんな人に声をかけました。
中村さんに声をかけたのも、いちばん最初っていうわけではないんです。
でも、唯一、本気でそういうのを実現できたらいいですねって、一緒に頑張ってくれたのは彼女だけだった。
他の人は、表面上はいいですねって言ってくれるんですけど、じゃあ今働いている職場を辞めてまでついてきてくれるかというと、そんなことはない。もちろん、それぞれの人生ですから、そこまでは要求できないんですけど。
彼女も引き抜いたわけではなく、自主的に辞めてきてくれただけです(笑)
本コーナーは、ユニークなアプローチで精神医療に取り組む医療・福祉従事者といった「精神科領域で活躍するプロフェッショナル」をご紹介し、メンタルの不調を抱えた方の選択肢を広げてもらおうというコンセプトのもと作成されています。
個人の紹介を目的としており、特定の医療機関への受診を促すものではありません。
また、障害年金への理解がある医師だからといって、実際の症状にそぐわない診断書を作成することはありません。
障害年金の受給だけを目的に受診し、事実と異なる診断書の作成を求めるようなことは行わないでください。