予備的請求は、主位的請求(主となる請求)が認められなかったときのため、予備的に行う請求のことを言います。
障害年金では、主に遡及請求の際に同時に行う、事後重症請求のことを指します。
予備的請求の手続き自体は簡易で、障害年金の遡及請求を行う際、「障害給付 請求事由確認書」という書類を提出するだけで完了です。
障害給付 請求事由確認書(当社作成のWORD版)のダウンロード
この手続きは、言葉の印象では任意ですが、厚生労働省が配布している国民年金申請の案内に、請求事由確認書は「障害認定日から1年以上経って、障害認定日による請求 または事後重症による請求をする場合に必要」とする旨が書かれており、実際は遡及請求を行う場合には必ず提出を求められます。
この書類の提出により、認定日請求が認められなかった場合、追加の手続きをすることなく、自動的に事後重症請求の審査が行われます。
もし、事後重症として認められた場合でも、認定日不支給に関しての不服申立て(審査請求・再審査請求)は行うことができます。
問題は、現在の等級に関する不服申立てです。
例えば、「認定日3級/現在2級と自覚していたのに、両方3級になってしまった」というようなケースで、現在の等級に対する不服申立てを行っても、不適法として却下されてしまいます。
このような状態を避けるためには、同時に額改定請求もしておく必要があります。
これにより、等級に納得できなかった場合、額改定請求に対する不服申立てが可能になります。
現在の障害状態が2級以上であると考える場合には、額改定請求も同時に請求しておきましょう。
当社で遡及請求を行なう場合も、状況に応じで額改定請求書を提出しています。
なお、職権による額改定(遡及請求や更新時の額改定)、額改定請求による額改定(請求者側からの要求時)のどちらも、等級変更は請求日の診断書の現症日の翌月からとなります。
たとえば、以下のような場合、診断書の翌月、令和3年1月の年金額より改訂されます。
障害認定日:3級
裁定請求日(令和2年12月25日現症の診断書):2級
受付日:令和3年2月15日
ただし、額改定請求を裁定請求と同時に行っていても、額改定の審査は裁定請求の後で行われますので、一旦3級の支払いが行われ、その次の振込日に調整(2級と3級の差額)された年金額が支払われます。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士