障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法➀ 「カルテに記載されている情報が少ない」
障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法③ 「症状が軽快している時期」
障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法④「神経症なので障害年金の対象外」
前回に続き、障害認定日のカルテは保存されているにも関わらず、診断書の作成を断られた際の対処法を取り上げます。
「当時の医師は退職している」
これは断られる理由ランキング上位に入ります。医師法第20条に「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書(中略)を交付してはならない。」とあり、このことを根拠として断られることがあります。
実際、障害認定日の診断書を依頼する医療機関に、当時の主治医がいないことはよくあります。(肌感では3分の1くらい)
多くの場合、障害年金を請求する権利を保護する観点から、別の医師がカルテに基づき障害認定日の診断書を作成してくれます。
このことで医師法に抵触すると当局から指摘された事例は知りません。
それでも医師法第20条が支障となり、診断書の作成に応じてもらえない場合の対処法は3つです。
1「診療録の証明書」を作成してもらう
医師法第20条では「自ら診察していない患者の診断書は交付できない」と定めているので、診断書の代わりに「診療録の証明書」を作成してもらいます。
方法は簡単で「診療録の証明書」は障害年金の診断書を使います。
- 診断書表面上部の「診断書」を二重線で消し「診療録の証明書」に書き換えます。
- 診断書の裏面下部にある「上記のとおり、診断します」の「診断」を二重線で消し「診療録に記載されていることを証明」に書き換えます。
なお、この「診療録の証明書」は、診断書と同等のものとして審査対象となります。
2カルテの写しをもらい、現在の主治医に作成してもらう
障害認定日の前後3ヵ月間のカルテ写しを交付してもらい、現在の主治医に当時の診断書を記載して頂く方法です。この時も主治医が医師法第20条の懸念を示した場合は、①の「診療録の証明書」として作成して頂きます。
この方法の場合、審査側からカルテ写しの提出を求められる可能性が高いです。
3当時の医師を探す
当時の医師は、インターネットが便利ですが、検索してもヒットしない場合は地域の医師会などに問い合わせます。
独立開業や別の医療機関に勤務している場合、②と同じようにカルテの写しを入手して、障害認定日の診断書を作成してもらいます。診断書⑬備考欄に「当診断書は〇〇クリニック(カルテ開示をした医療機関名)の診療録を基に作成」と記載があれば、問題なく審査対象となります。
ただし、この場合も②と同じく審査側からカルテ写しの提出を求められる可能性が高いです。
次回は「症状が軽快している時期だった」と断られた場合の対処法を取り上げます。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士