障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法② 「当時の医師は退職している」
障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法③ 「症状が軽快している時期」
障害認定日の診断書作成を断られた際の対処法④「神経症なので障害年金の対象外」
遡及請求を行う際、現在の診断書に加えて、障害認定日(初診1年6ヵ月後)の診断書の合計2通が必要になります。現在と障害認定日の医療機関が異なる場合、診断書を依頼する順番の重要性については、「遡及請求は診断書依頼の順番が大事です」をご覧ください。
現在の診断書を取得後、障害認定日の医療機関に連絡すると、診断書の作成を断られることがあります。カルテの保存期間が経過していて、既に廃棄されている場合や、障害認定日指定期間(初診1年6ヵ月後から3ヵ月以内)に受診歴がない場合は仕方ありません。
しかし、それ以外の理由であれば、以下の対処法により診断書を取得できるかも知れません。
「カルテに記載されている情報が少ない」
医師や医療機関によってカルテの記載方法は大きく異なります。診察中、医師とは別にPCを打ち込む係の方がいて会話のほぼすべてを記録する医療機関もありますし、反対に処方薬情報しか記載しないところもあります。
「日常・社会生活における援助の必要度」を認定基準とする精神障害は、カルテの情報が少なければ診断書を作成することは困難です。
「情報が少ないので診断書が書けない」ということは、「情報があれば書ける」とも解釈できます。
医療機関へ「こちらで補完情報を提供しますので、資料を送っても良いですか」と伝えて、以下の資料を送付します。
- 現在の医療機関が作成した診断書のコピー
- 障害認定日頃の障害状態を詳しく記した病歴・就労状況等申立書のコピー
- 受診状況等証明書のコピー(取得している場合のみ)
送付してから1週間程度経過した後に連絡して、再度診断書作成の可否を確認します。
その際、追加資料を求められることもありますが、できるだけ対応するようにしましょう。
医療機関から「これだけ資料が揃っているのであれば、なんとか書けるかな」と回答が得られれば遡及請求へ一歩前進です。
ポイントは「カルテの情報が薄い」という課題を共有し、依頼者から「補完情報の提供」という解決策を提示、医療機関の検討を促すことです。
一方的に医療機関を問いただしても拒否感が強まるだけで検討してもらえる可能性は低いです。
次回は「当時の医師は退職している」と断られた場合の対処法を取り上げます。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士