老齢基礎年金の繰り上げと障害年金
横浜オフィスの黒川です。
令和6年度になり、在職老齢年金やその他、繰り上げ減額率がかわりました。
在職老齢年金調整額は50万となり、繰り上げ減額率は1ヵ月あたり0.5%で最大30%減額(65歳支給を60歳で受給する場合)でしたが、昭和37年4月2日以降の生年月日の方は1ヵ月あたり0.4%(最大24%の減額)となりました。
そこで、以前ご紹介いたしました老齢基礎年金の繰り上げと障害年金の関係をパターンでご紹介いたします。
老齢年金を繰り上げした場合は、65歳に到達したとみなされますので、障害年金の事後重症請求はできないのが基本です。
但し、認定日であれば請求できたり、初診日と繰り上げのタイミングで事後重症請求ができる場合もございますので、本記事でご紹介してまいります。
認定日請求ができる事例、できない事例
基本的に60歳前に初診日がある場合は、老齢基礎年金の繰り上げをしていても障害認定日での請求は可能です。
60歳以降に初診日がある場合は、初診日が繰り上げ前であっても認定日請求できない場合もありますのでご注意下さい。
<認定日による請求ができない事例>
60歳以降に初診日があり、1年半経過前に繰り上げしている。
この場合は、認定日での請求は不可となります。
<認定日による請求が可能な例>
A 60歳前に初診日がある
1年半経過せずに繰り上げしていても、60歳前に初診日があれば認定日での請求は可能となります。
B 60歳以降の任意加入中に初診日があり、1年半経過前に繰り上げ請求した
条件を満たしていれば、60歳以降であっても国民年金に任意加入することが可能です。
この任意加入中に初診日があり、初診日から1年半経過前に繰り上げ請求をしたケースでは認定日請求は可能です。
C 60歳以降に初診日があり、1年半経過後の認定日以降に繰り上げ請求
60歳以降に初診日があり、認定日以降に繰り上げ請求を行った場合は、認定日での請求が可能となります。
このように、初診日と繰り上げがどのタイミングであるかによって、認定日請求の可否が決まります。
事後重症請求ができる事例、できない事例
<事後重症請求ができない事例>
基本的に繰り上げ以降の事後重症請求は行うことができません。
A 60歳以降に初診日、1年半経過後に繰り上げ請求後の事後重症請求
B 60歳前に初診日、1年半経過前に繰り上げ請求後の事後重症請求
C 60歳前に認定日、但し、請求日前に繰り上げ請求
60歳前に認定日があったとしても、先に繰上げ請求を行ってしまったあとだと、事後重症請求はできません。
<事後重症請求可能な例>
繰り上げ請求を行ったのが請求日以降であれば、事後重症請求が可能です。
A 60歳以降に初診日、65歳前の障害年金申請、その後の老齢基礎繰り上げ請求
B 60歳前に初診日と認定日、65歳前に障害年金申請、その後の老齢基礎繰り上げ請求
まとめ
老齢年金の繰り上げと障害年金についての関係は、年齢だけでなく順番も重要となっています。
特に老齢年金の繰り上げ受給のタイミングにご注意いただければと思います。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター