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公開日:2023/09/25
  最終更新日:2024/03/18

不服申し立てで請求側の主張が認められました。(16)

不服申し立てで請求側の主張が認められました。(16)

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。

■事例の概要

先日、厚生労働省年金局事業管理課から、「保険者(国)が(障害状態1級または2級に該当しないとして)不支給とした決定を変更し、障害基礎年金2級の支給と認める」旨の(保険者による処分変更)連絡がありました。公開審理再審査請求)の2週間前の処分変更です

請求人は「強迫性障害」により日常生活動作に著しい支障があることから長期入院中で、退院の目途が立たない状況でした。
ご家族が代理人となり、障害基礎年金を請求したものの、「傷病名が神経症圏の『強迫性障害(F42)』であること」「精神病の病態を示していないこと」、を理由に不支給裁定されました。

障害年金の対象とならない精神疾患

障害認定基準(精神の障害)には次の記載があります。(下線・太字は筆者による)

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。

「精神病の病態」??と疑問に持つと思いますが、「強迫性障害など神経症は対象外だけれども、うつ病又は統合失調症の典型的な症状がみられるのであれば、うつ病又は統合失調症に相当として審査対象とします」と解釈できます。

神経症の病名だけでも障害年金は受け取れる

■当社の対応

ご家族の話を伺うと、強い抑うつ気分に対して抗うつ薬が処方されているとのことでしたので、「精神病の病態(うつ病相当)」に該当する可能性がありました。そこで、入院先の主治医に次の意見書を作成して頂きました。
医師の意見書(強迫性障害だが精神病の病態を示している)

■処分変更により障害基礎年金2級に決定

公開審理(再審査請求)前に保険者による処分変更となり、障害基礎年金2級が決定しました。

神経症でも、うつ病の典型的な症状(気分の落ち込み、意欲の低下など)、または統合失調症の症状(幻覚、妄想など)がみられる場合は障害年金の対象となる可能性があります。
ただし、診断書や意見書の依頼に際して、主治医に見解を確認するなど入念な下準備が必要になります。自分では対応できないと思ったら、早めに専門の社労士へ相談することをお勧めします。

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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