返戻とは、年金請求後に書類不備による再提出や補正を求める日本年金機構障害年金センターからの通知のことです。
返戻理由の一例は次のとおりですが、分かり難いのでカッコ内に意訳を加えました。
社会的治癒を援用した障害厚生年金の初診日を認めず、国民年金加入期間を初診日として障害基礎年金に請求替えを検討してください。
(このまま障害厚生年金を維持してもいいけど、却下処分にするよ)
提出した書類では初診日を確認することができないので、第三者証明などの他に証明できる書類を提出してください。
(このまま障害厚生年金を維持してもいいけど、却下処分するよ)
提出した診断書の現症日は障害認定日から離れているため、障害認定日の障害状態を確認することができません。事後重症請求への変更を検討してください。
(このまま障害認定日請求を維持してもいいけど、障害認定日の障害状態は認定不能だから却下処分にするよ)
このように、請求者側の意図しない対応を求められることが多いので、障害年金の実務家は返戻にネガティブなイメージを持っている方もいると思います。
時々、胸が高鳴る返戻パターンもあります。これらは遡及認定の前兆であることが多いです。
障害認定日の生計同一関係の確認のため、住民票の除票、戸籍の附票または第三者の証明など生計同一関係を確認できる書類を提出してください。
(遡及認定を予定しているから、障害認定日の配偶者加給・子の加算の手続きに必要な書類を追加提出してね)
20才前障害なので平成〇〇年度~○○年度の所得証明を提出してください。
(遡及認定を予定しているから、日本年金機構が確認できない平成31年以前の年度分の所得証明を追加提出してね)
障害認定日より後に婚姻または子の誕生があったため、「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届」を提出してください。
(遡及認定を予定しているから、加算額、加給年金額の手続きのため、該当届を追加提出してね)
この返戻パターンだと遡及や等級も予想できますが正式決定前なので、依頼者に早く伝えたくなる気持ちをグッと抑えつつ、粛々と追加提出書類を揃えます。(スタッフ同士で喜び合います)
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士