書類審査である障害年金の手続きには、医師の作成する診断書は不可欠であり、障害等級も診断書によって大方決まります。
診断書の作成を主治医に依頼しても断られることがあります。断られたときの対処法については、別の記事で解説していますのでご覧ください。
断る理由のひとつに「疾病利得」を挙げる先生もいます。
疾病利得とは、病気になることで得られる利益のことです。この利益とは経済的なものだけでなく、「周囲の人が優しく接してくれる」などの心理的なものも含まれます。こうした利益を得てしまうと、無意識のうちに病気の陰に隠れてしまい、主体的に病気を治す行動に移せなくなってしまうことがあります。これではいくら最良の治療法を選択しても十分な効果が得られず、主治医は困ってしまいます。
障害年金に関して、「受給すると、それを維持しようとして、就職や復職の機会があったとしても疾病利得が邪魔をして、社会復帰に二の足を踏むのではないか」と心配になる主治医のお気持ちは分かります。
このように疾病利得を心配して診断書の作成を断られた場合、将来的に就職・復職を希望している方は、次の順番で説明すると良いでしょう。
- 現在は仕事ができず、経済的不安が大きいこと
- 年金を受け取ることで不安を軽減させ、治療に専念したいこと
- ゆくゆくは社会復帰を希望していること
「障害年金は手段であり、最終目的は社会復帰」であることを理解してもらえば、主治医の不安を取り除けるかもしれません。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士