障害年金は手足の切断など不可逆的な障害を除き、有期認定になります。
精神の障害も生来性の知的障害や発達障害を含め、はほぼすべてが有期認定となり、初回の更新(再認定)は1~5年後に定められます。
障害年金の決定後、一番多い質問は「どれくらい働く(稼ぐ)と障害年金が支給停止になるのか」です。
まず、20歳前傷病かつ一定の所得(前年の所得が370.4万円超)がある場合を除き支給制限はありません。基本的には更新時の障害状態で継続・増額・減額・支給停止が判断されます。
令和元年度の更新状況をみると、継続・増額が97.8%、減額・支給停止が2.2%となっています。
新規裁定請求の不支給割合が12.4%に対して、更新の支給停止割合はわずか1.1%です。
更新時に提出する診断書は「障害状態確認届」といいますが、文字通り「審査」よりも「確認」であることがこの支給停止割合からわかります。「少しでも働くと障害年金がもらえなくなってしまう」と誤解して、就労を諦めてしまう方がいるのは残念です。精神の障害でも、障害者雇用や手帳所持者であることをオープンにした働き方であれば、減額(2→3級)の可能性はあるものの、就労していることのみを理由に支給停止になる可能性は低いです。
もし、減額や支給停止になってしまったとしても障害年金を受ける権利(基本権)を失う訳ではありません。将来的に休職等の状況になれば、支給停止事由消滅届の手続きを行うことにより支給再開できますし、1年以上経過後であれば額改定請求により増額(3→2級)も可能です。
体調面の不安が軽減し、機会があれば就労へ向けて一歩踏み出してはいかがでしょうか。就労の経験がなかったり、ブランクが不安な場合は就労支援施設の利用からのスタートをお勧めします。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員- 社会保険労務士・精神保健福祉士