横浜オフィスの黒川です。
もくじ
最近の「労災」
精神疾患のご依頼者様の病歴を作成してたびたび感じるのは、職場でのパワハラやいじめを受けたという内容が多いことです。
うつ病などの発症原因が職場であるようなケースでは、特にこのあたりを細かく書いていく事が多いです。
さて、今回は「労災(労働災害)」をテーマに少しお話させていただきます。
当社では労災申請のお手伝いは行っておりません
今まで労災といえば、工場での事故などで負った身体的な障害によるものというイメージが一般的でした。明らかに、会社の安全管理に問題があると確認できるケースです。
これは、労災が認定される症状固定の概念が難しいためでした。
ところが、最近の労災申請では、精神での申請が増えております。
2020年度では、精神障害の請求件数は、2,051件そのうちの認定は608件。
2021年度では、請求件数は2,346件、認定は629件となっております。
原因別ではパワーハラスメントが最も多くなっており、次に仕事内容や仕事量になっております。
2020年6月頃から、こういった精神障害の原因として認められるパワハラの労災認定が急増しております。
障害年金と「労災」
このところ、当オフィスへのご依頼様でも労災認定されている方や申請中の方が続けて何人かいらっしゃいますので、何点か再確認をさせていただきました。
両方を満額受給することはできません。
障害年金と労災の両方を満額受給することはできず、調整が入ります。
この際、障害年金は減額や調整の対象にはならず、労災での調整となるのが基本です。
障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。(厚生労働省)
ただし、障害年金が停止になる場合もございます。
20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
精神疾患で労災認定が、年金ではなく8級から14級の一時金の場合は、労災での調整はかかりませんので障害年金を受給されたとしても返還にはなりません。
傷病手当金・休業補償給付と障害年金について
労災には、健康保険から支給される傷病手当金と同様に労働できない4日目より休業補償給付が支給されます。
労働災害が発生したとき(厚生労働省)
傷病手当金が業務外の理由での支給対象であるのに対して労災の休業補償給付は、業務上の理由で就労できない間に支給されますので、どちらかになります。
こちらの給付はどちらも同一傷病の場合、障害年金と調整が入ります。
- 傷病手当金と被る期間は調整されるのは障害厚生年金のみです。障害基礎年金は調整されません。
以前、某大手の健康保険組合では基礎年金決定の方に誤って返還の請求書を出しご相談を受け、申し立てをしたこともございます。
同じ傷病に関して補償が重複されるためです。 - 障害年金(基礎、厚生両方です)と同じ傷病での労災給付である休業補償給付は、調整の対象になります。
(労災は、社会保険加入に関わらず全ての労働者が対象です)
労災認定に関してのご相談は当社では扱っておりませんが、障害年金と重なる期間で休業補償級等受給期間がある場合は、返還になる場合もございますのでご注意いただけれと思います。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター