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公開日:2022/12/12
  最終更新日:2023/11/02

知的障害でも障害厚生年金で請求できるケース

知的障害でも障害厚生年金で請求できるケース

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。

原則として知的障害の初診日は、後天的な要因がある場合を除き、出生日になります。
そのため、「知的障害は20才前障害による障害基礎年金しかできない」と思いこまれている相談者の方もいます。

しかし、例外があり、たとえ知的障害が診断書に記載されていても障害厚生年金請求できる場合があります。
それは、発達の遅れそのものは軽度であるため、療育歴がないようなケースです。

【Aさんの事例】

幼少・青年期は、理解力、記憶力、コミュニケーションなどに若干の遅れはあったものの、家庭や学校など周囲の援助などにより、なんとか過ごせていました。
ところが、社会人になり環境が変わると、知的発達の遅れによる課題(仕事をなかなか覚えられない、取引先とのコミュニケーションが困難)が顕在化して、職場不適応に陥ってしまいました。
その頃、家族の勧めで精神科を受診、治療の過程で心理検査を受けた結果、はじめて軽度の知的障害と診断されました。
このように、大人になるまで誰からも指摘されず、療育(発達支援)歴がない軽度(IQ50以上)の知的障害は、メンタル不調ではじめて医療機関を受診した日を初診日とすることができます。

つまり、この初診日が厚生年金加入期間中であれば、障害厚生年金の請求が可能ということです。

「うつ病」として障害厚生年金を請求予定だった方が、診断書に「知的障害」の併記があり、年金事務所から「障害基礎年金に書き直し」を指示されたという相談を受けたことがあります。年金事務所でも例外的な取り扱いが周知されていないことがあるのでご注意下さい。

また、日常・社会生活上の困難性はうつ病等、知的障害以外の障害が主であることを診断書や病歴・就労状況等申立書にて表現する必要があります。
当社では、主治医へ診断書作成を依頼する際に、その点を十分理解頂けるよう資料を準備し、審査側へ意図が伝わる病歴・就労状況等申立書を作成しています。
また、年金請求時に裁決例等の根拠を示し、「20才前の障害基礎年金」でなく「障害厚生年金」が妥当であることを主張した「初診日に関する申立書」を作成しています。

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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