社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。
以前(今年の年初)、請求者側に有利な決定が続いていることを記事にしました。
今月、フルタイム就労中の3名の依頼者が障害厚生年金2級に連続決定したので事例を紹介します。(個人情報保護のため、一部加工しています)
Aさん | Bさん | Cさん | |
病名 | 広汎性発達障害 | 双極性障害、ADHD | うつ病 |
勤務先 | 特例子会社 | 一般企業 | 一般企業 |
雇用体系 | 障害者雇用 | 障害者雇用 | 障害者雇用相当※ |
職種 | 事務 | 介護 | 配送 |
勤続年数 | 2年 | 3年 | 10年 |
給与 | 18万円(賞与あり) | 19万円(賞与あり) | 23万円(賞与あり) |
同居者の有無 | あり | なし | あり |
精神保健福祉手帳所持者として法定雇用率に算入
等級判定ガイドライン〔表2〕総合評価の際に考慮すべき要素の例の➃就労状況に以下の例示があります。(下線は筆者による)
考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
---|---|
〇相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。 | ・ 就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする。
・ 障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。 |
これまでは、等級判定ガイドラインに例示があるにも関わらず、障害厚生年金の場合は診断書が2級相当であっても就労状況(障害者雇用)を理由に3級に決定されていました。
一方で3級がない障害基礎年金は、障害者雇用等の制限のある働き方であれば、2級認定されるケースが多くあります。
障害基礎年金2級と障害厚生年金2級、同じ2級でも障害基礎年金の方がその範囲は広いことが知られています。
今回(請求者側に寄った)の決定は、等級判定ガイドラインの例示と障害基礎年金との整合性を考慮したことが窺われます。
ただし、一時的なブレの可能性もあるため、今後の審査状況を注視して参ります。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士