横浜オフィスの黒川です。
初診日の年金制度について、かなりレアなケースがありましたのでご紹介いたします。
今回ご依頼のあったA様ですが、初診日は令和2年8月11日。「初診日は国民年金です」とのことでした。
上の画像の令和2年8月を見てみると、国民年金になっています。
こちらは、ねんきんネットや定期便で確認しても国民年金となっています。
納付記録を見ると、国民年金の保険料も納付実績がございます。
ただ画像1をもう一度ご確認いただくと、国民年金の記録が、8月が2つに分かれているのが分かるでしょうか。
- 令和2年6月1日~令和2年8月3日
- 令和2年8月21日~
このように令和2年8月3日~21日の日付が抜けております。
初診日である令和2年8月11日は8月分の国民年金保険料を支払っているにも関わらず、日付が含まれていないので、未加入に見えてしまいます。
実はこの期間ですが、厚生年金に加入し、入社、退職が同月内に行われていて同月得喪となっております。
画像にある「19条」とは以下を指します。
第二節 被保険者期間
第十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。
厚生年金法 二節 被保険者期間 19条
年金の被保険者期間は日付でなく月を単位として、月末の制度となっております。
そのため、令和2年8月は、途中退職した期間後に加入した国民年金保険料を支払った国民年金となっております。そこで、会社に対して保険料の還付が行われたことで、厚生年金の加入記録が削除されました。
還付により厚生年金加入の実態はなくなり、図1のように会社名も記載されていません。
しかし、画像3により、初診日ある令和2年8月11日は、厚生年金加入期間であったことは確認できますので、障害基礎年金ではなく、初診日が厚生年金である障害厚生年金での請求が可能となります。
これは画像3の記録を確認しないと判明しませんでした。
当社では、障害年金申請の際に、納付要件等を確認のため、ご依頼者様の記録を取得しております。
合算対象期間や、記録もれなども対応させていただく場合もございます。
初診日が国民と厚生年金とでは、金額なども大きく変わってきます。
会社をすぐに退職された経験のある方などの参考になれば幸いです。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター