横浜オフィスの鈴木です。
今日は『こども六法』の紹介をしたいと思います。
『こども六法』は、大人でも難解な法律をイラストつきで、誰でも楽しんで読めるように書き直したものです。通常の六法から商法を除いて、少年法、いじめ防止対策推進法を加えた下記7章立てになっています。
- 第1章 刑法
- 第2章 刑事訴訟法
- 第3章 少年法
- 第4章 民法
- 第5章 民事訴訟法
- 第6章 日本国憲法
- 第7章 いじめ防止対策推進法
小学生時代に壮絶ないじめを受けた著者は、長じて六法全書に出会い、たとえ子供同士でもいじめは犯罪で、傷害罪、侮辱罪、名誉毀損罪といった罪にあたるということを知ります。
「あの時知っていれば、もっと自分の身を守れたのに」という悔しい思いから、小学生の時の自分が欲しかった本を作ろうと決意されたそうです。
子供の頃からやってはいけないことの線引きをきちんと理解すること、また、もし自分がいじめや犯罪の被害にあってしまっても、周囲の大人にSOSを発信できることを目指して制作されています。
周囲に頼れる大人がいなくても困らないよう巻末には、省庁や都道府県の相談窓口の連絡先も掲載されています。
そんな「こども六法」ですが、我が家では自閉症の子供に世の中のルールを教える教材として大いに役立っています。
例えば子供がお友達を叩いてしまった場合、通常は「叩かれたら痛いでしょ?叩いたらダメだよ」などと諭すと思います。ところが、息子にはそれでは伝わりませんでした。あくまで痛いのは相手で自分は痛くないわけです。相手の立場になって考えられない障害の特性がよく表れています。「こども六法」では次のような表現になっています。
刑法第204条 傷害
人の体を傷つけた人は、15年以下の懲役か50万円以下の罰金とします。
こども六法 刑法204条
この条文には「直接ぶったり、けったりしなくても、悪口などで相手が体調をくずすほどのストレスを与えた場合もあてはまるよ」と補足説明が盛り込まれています。
息子はこの文章を読んで「牢屋に入るのは嫌だ」「お金を取られるのは嫌だ」「だからしない」と言っていましたので、概ね理解できたようです。おかげさまで、今ではすっかり他害行為がなくなりました。
人の気持ちを理解させ、優しい気持ちを育みたいのは山々ですが、現状では難しいので、今は「こども六法」でコツコツとルールを教えているところです。
息子のこだわりの強さには手を焼いてきましたが、どうせこだわるならルールにこだわらせて、社会に適応できるようになればいいなあと思っています。
- 鈴木
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス所属 - 社会保険労務士有資格者