横浜オフィスの黒川です。
先週の7月12日、障害基礎年金が不支給になったことで不服申し立てを行った公開審理に行って参りました。
今回の不支給理由は、認定調書によると2つありました。
そのうちの1つについてですが、診断書に「母親の庇護のもと、辛うじて日常生活をおくることができる」の記載があることでした。
精神診断書記載要領P9 日常生活の能力の判定・能力の程度の説明分は以下の通りです。
○ 日常生活の制限の度合いを適切に把握するため、入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居などにより、支援が常態化した環境下で日常生活が安定している場合であっても、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定し、その場合の日常生活能力について記載してください。
精神診断書 記載要領
これに、基づき、診断書の内容も、母親から多くの援助を受けていることが十分に記載されており、認定基準である、能力の判定と程度では2級相当でした。
一般的に、受給が決定している診断書の記載方法は、「母親の庇護のもと、辛うじて日常生活をおくることができる」ではなく、「母親の庇護がなければ日常生活をおくることができない」という書き方になっています。意味はほぼ同じです。記載の仕方が、肯定形なのか、否定形なだけです。
文末が「できる」で、日常生活をおくることができると審査側はとらえています。
診断書や病歴の文言についてですが、これまでも言葉の使い方ひとつで、不支給になってしまう例はありました。病歴に関しては十分注意を払っての記載とさせていただいておりますが、診断書は医師が作成するので、そうはいきません。
明らかな不備や記載漏れなどは、訂正をお願いできますが、表現の仕方を、お願いできる場合とそうでない場合がございます。内容が間違っていないからです。
保険者の判定からすると、診断書や病歴の書き方として、肯定形は使わない方がベターだと推察されます。
「意味は同じであり、医師の書き方の相違」と保険者に対して指摘させていただいたところ、反論はありませんでした。違和感を覚えてなりません。
もう1件、こちらは通常の請求で認められた事例です。事前に保険者側に納得していただくための任意の申立書を添付しました。
認定日請求で、1年半たたなくても認定日として認められるは人工関節の挿入や、手足切断など、症状が変化なく固定した場合です。
これまで、扱った案件で1年半経過後3か月以内の規定を、3か月を超えた場合でも認定された事例は、何件かございました。
今回、1年半経過後でなく、経過していない1日前の日付で認められました。かなりのチャレンジではありました。却下の判定だった場合は、反論できないため、申請時にしっかり申立書を添付しました。国年法、厚生年金法に抵触していないかを確認の上、進めました。1年半経過後から3か月以内に通院できなかった理由、症状の変化について、また、1年半という日数についての意味合いを述べました。
これまでも1年半経過後3か月以内を超えた場合でも、根拠となる理由をしっかり申立てることにより、+1か月以内であれば認定日として認められました。今回は、1年半経過していない場合でも認められた唯一貴重な事例です。
一般的な規定から外れていても、事前に保険者側から反論されないような申立を前もって添付することで、認定されるということを再認識いたしました。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター