障害年金の等級審査は診断書で決まるといっても過言ではありません。
精神障害は、血液検査や可動域などの客観的な指標がないため、医師の主観に頼った診断書構成になっています。
医師の判断・診断書の書き方によって結果が大きく左右されるので、医師にかかる責任や重圧はより大きいものとなります。
時々、ご自身で手続きを進め、診断書を取得した後「軽く書かれているから、2級になるように医師に交渉してほしい」といった相談を受けることがあります。
こういったご相談・ご依頼は、すべて丁重にお断りしております。
理由は2つあります。
➀「交渉」とみなされる行為は禁止されている。
いわゆる非弁行為(弁護士以外が業として代理で医師と交渉等を行うこと)は弁護士法で禁止されています。
②「医学的な所見」に関する働きかけは不適切。
たとえ依頼者のためでも、社労士が医師の専権である「医学的な所見」に踏み込むことはできません。
ただし、「医学的な所見」以外の部分、例えば未記入項目への追記や、生年月日・住所などの形式的補正は依頼可能と考えられます。
社労士会の倫理研修でも強引な手法で医師に働きかける社労士が度々取り上げられています。そのため、社労士を好ましく思わない医師がいるのはとても残念です。
社労士は、依頼者の初診前後の経過や日常生活状況など、診断書の記載項目に関する情報を医師が十分把握できるよう資料提供することは大切です。しかし、医師の判断(医学的所見)を誘導するような文言は厳に慎まなければなりません。
当社の参考資料は、医療機関や相談援助機関でソーシャルワーカーが初回相談時に作成するインテークの手法を取り入れています。
主訴とその背景にある問題を明らかにして、仮説とアプローチ方法を検討するための情報集約した資料
「もらった資料は、その後の治療にも役立ったと社労士さんにお礼を伝えておいて」と依頼者から医師のメッセージを受けたことがありますが、社労士冥利に尽きるお言葉でした。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士