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軽度の知的障害による障害年金請求とIQの関係
公開日:2022/02/07
  最終更新日:2022/06/22

軽度の知的障害による障害年金請求とIQの関係

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。

障害年金の実務において、知的障害(精神遅滞)の定義は、厚生労働省が採用している世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第10版(ICD-10)が用いられています。
2019年に改定された第11版(ICD-11)では、先行して発表されている米国精神医学会のDSM-5に足並みを揃え、「知的発達症」の名称に変更されています。
現在、厚生労働省にて適用作業が進められ、近いうちに障害年金制度でも、「知的発達症」に名称統一される見込みです。

現在、障害年金制度で適用されているICD-10では、知能指数(IQ)が50~69を軽度の知的障害と定めています。
障害年金の認定基準には、明確な知能指数が示されてはいないものの、IQ70以下が目安となっていると考えられます。
そのため、発達障害などが併存していなければ、「障害年金の受給は難しいのでは」と考えがちです。

しかし、知的障害は、「知的機能(IQ)」だけでなく、「適応機能」という日常生活能力、社会生活能力、社会的適応性などの能力を測る指数とも合わせて診断されます。
「適応機能」は、日常生活でその人に期待される要求に対していかに効率よく適切に対処し、自立しているのかを表す機能のことです。
たとえば食事の準備・対人関係・お金の管理などを含むもので、年長となって社会生活を営むために重要な要素となるものです。
出典:知的障害(精神遅滞)| e-ヘルスネット(厚生労働省)

障害年金の認定基準には、「知的障害の認定に当たっては、知能指数(IQ)のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。」と記載されています。
つまり、IQが高値(70以上)でも生活適応能力(食事の準備・対人関係・金銭管理、安全保持など)が不十分で援助が必要な状況であれば、障害年金を受給することができます。

知的障害(精神遅滞)の認定基準と留意点

重要になるのは、審査側への伝え方です。まずは、不適応行動などの具体的なエピソードをまとめて病歴・就労状況等申立書に記載します。また、診断書にも盛り込んでもらうべく日常生活状況をまとめた資料を診断書作成医にあらかじめお渡しすることをお勧めします。

病歴・就労状況等申立書の書き方とサンプル(知的障害での申請)

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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