遡及請求と額改定は認定のタイミングが違う
遡及請求を行う際、障害認定日と現在の障害状態を示した2枚の診断書を提出します。
障害認定日3級相当、現在2級相当など現在の障害状態が明らかに重くなっている場合は、額改定請求書を添付します。その理由は、以前のブログで当社の黒川が解説しております。
今回は、遡及請求で障害認定日が3級に決定し、現在(裁定請求日)がどの時点で2級に改定されるか解説します。
モデルケース
初診日 | 平成29年11月15日 |
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障害認定日 | 令和元年5月15日(3級) |
現在の診断書現症日 | 令和3年5月20日(2級) |
裁定請求日 | 令和3年6月30日 |
令和3年9月17日に等級は「3級」、支給開始月は「令和元年6月」と記載された年金証書が届いたとします。この時点では、「障害認定日に遡って3級の支給決定が行われた」こととのみ判明します。初回年金支給日は令和3年10月15日(定時支払日)となり、令和元年6月~令和3年9月の28月分の年金が振込まれます。
上記のケースでは、職権での額改定審査は障害認定日の認定の後に行われます。通常は、請求者に年金証書が届く頃に審査され、決定するまで1ヵ月程度を要します。無事に額改定が認定されると、現在の診断書現症日の翌月(令和3年6月)から2級に改定されます。その場合、令和3年11月15日(随時支払日)に3級と2級の年金差額が振込まれます。
なお、随時支払日の数日前に支給額変更通知(2級の年金証書)が届きます。
年金証書には3級としか記載されていないため、「症状は重くなっているから2級を期待していたのに」とがっかりされる方もいらっしゃると思います。ですが、上記のように段階的に審査・認定されるため、1ヵ月程度待ってから年金事務所等に額改定審査の進捗確認をお勧めします。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士