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公開日:2021/10/18
  最終更新日:2021/10/20

精神科の入院制度について

精神科の入院制度

精神科の入院制度

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。
日本弁護士連合会(日弁連)は10月15日、「精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議」採択しました。
決議には、精神障害のある人を対象とする強制入院制度を廃止すること、入院している人の退院・処遇改善請求の権利を保障するために、無償で弁護士を選任し、援助を受けられるようにすることなどが盛り込まれています。
日本弁護士連合会:精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議

この決議について、賛否両論あるもののそれは置いておいて、今回は精神科の入院制度について解説します。

精神科の入院制度は大きく分けて3つ

病状や状態により「精神保健及び精神障がい者福祉に関する法律」に基づき、本人が自ら入院に同意する「任意入院」、家族等のうちいずれかの者の同意による「医療保護入院」、都道府県知事の権限による「措置入院」に分けられます。
その他、緊急かつ時限的な措置として、「緊急措置入院」、「応急入院」があります。

入院制度別の行動制限

↑ 行動制限が少ない
・任意入院
患者本人に入院する意思がある場合、任意入院となります。症状が改善し、医師が退院可能と判断した場合や、患者本人が退院を希望した場合に退院となります。ただし、72時間に限り、精神保健指定医の判断により退院を制限すること場合があります。
・医療保護入院
医療と保護のために入院の必要があると判断され、患者本人の代わりに家族等が患者本人の入院に同意する場合、精神保健指定医の診察により、医療保護入院となります。連絡のとれる家族等がいない場合、代わりに市町村長の同意が必要です。
・応急入院
自傷他害の恐れは無いが、直ちに入院させなければ患者本人の医療及び保護を図る上で著しく支障があって、任意入院が行われる状態にない、または、家族等に連絡がつかないなど同意が得られていない場合の入院です。入院期間は精神保健指定医の診察の場合は72時間、特定医師が診察した場合は、12時間に限られます。
・措置入院
自分を傷つけたり他人に危害を加える恐れがある場合で、精神保健指定医2名が診察した結果、入院が必要との診断が一致した場合に都道府県知事の権限によって行われる入院です。
・緊急措置入院
自傷他害の恐れが有り、正規の措置入院の手続きが取れず、かつ急速を要するとき、精神保健指定医1人の診察の結果に基づき都道府県知事の権限によって72時間を限度として行われる入院です。
↓ 行動制限が多い

日弁連の決議で廃止を求めている強制入院制度とは、「任意入院」以外の入院形態を指します。自己決定権の保障と行動制限をどのように調和させていくのか、今後も幅広い観点から議論を深めていくべき課題だと思います。
尚、障害年金審査では、入院形態による受給のしやすさに違いはありません。

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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