横浜オフィスの黒川です。
額改定請求は基本的には、申請により年金の等級が決定してから1年を経過しなければ行うことはできません。
しかし、一部の特別な障害状態では、1年を待たずとも申請できるものがあり、前回はその一覧をご紹介いたしました。
もくじ
遡及請求と額改定
まずは、遡及請求と同時に行う額改定についてご案内します。
額改定請求を行うには、額改定請求書と診断書を提出します。
等級の決定
まず、初回の申請時(遡及申請を含む)や更新時の審査で障害年金の等級が決定します。
審査された結果で、本来より、軽い認定になったり、不支給、却下になった場合には不服申し立てで審査請求を申立てることができます。
不服申立てを行うケース
- ①予定していた等級より下位での決定の場合
- ②不支給
- ③却下(初診日が認められないパターンが多い)など
いずれも通知が届き(年金証書は裏面)、その内容には必ず教示文と呼ばれる「この内容に不服のあるものは~」と記載されておりますので、審査請求が可能となります。
遡及請求の事後重症分に不服申し立てをするには
通常、遡及請求の事後重症分には不服申立てができない
さて、ではなぜ、不服申立てのお話をしたのかというと、それは、額改定と関係があるためです。
遡及の申請をした場合で、明らかに事後重症請求の症状が重いにも関わらず、認定日と同じ結果であった場合でも、事後重症請求に係る申請分には不服申し立てをすることができません。
なぜなら、事後重症にかかる結果通知が届かない、つまり「この内容に不服のあるものは~」と書かれた教示文がないためです。
遡及申請には診断書を2枚提出しますが、事後重症分は職権での審査となっているのです。
逆に、認定日が2級、事後重症請求分が3級であった場合、前編でお知らせいたしましたが、「支給額変更通知」が届きます。
そこにも教示文は記載されておりますので、不服申し立ての審査請求が可能となります。
遡及請求の事後重症分に不服申立をするには
そこで、明らかに事後重症の症状が重い時には、額改定請求書を1枚加えます。
これにより、遡及請求での審査が、認定日・現在(職権での額改定)だけでなく、現在(請求による額改定)が行われることになります。
審査の結果、等級が認定日・現在で同じになった場合、額改定請求に対する結果通知が届き、事後重症請求に対して不服申し立てが可能となります。
なお、額改定請求書は必須の書類ではないため、通常の遡及申請をする場合、年金事務所では案内はしません。
更新と額改定申請
他にも1年待たずに申請できる額改定があります。それは更新時の額改定です。
更新時に、今より明らかに症状は悪化しているのに、審査の結果、以前と等級が同じであった場合、不服申立てについて書かれた教示文を含む変更通知が届きません。
そのため、不服申し立てを行うことはできないのです。
代わりに、1年を待たずとも額改定の申請が可能です。
また、通常は更新時の診断書「障害状態確認届」は、1枚のみの提出ですが、不服申し立てを念頭に入れるのであれば、額改定請書を追加する方法もあります。
いずれにしても、非常に分かりにくい仕組みだと思われることでしょう。
ご自身での申請が難しいと感じられた場合は、社労士にご相談ください。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター