横浜オフィスの黒川です。
今回、遡及申請しましたお客様で、認定日3級 → 現在2級という方が2組いらっしゃいました。
認定日時点では、「休職中」でしたが、その後復職されたり転職された期間もございました。
また、診断書の内容も、明らかに現在の請求(事後重症)の方が重い内容でした。
それらの理由で、認定日については3級、現在は2級という結果になったのだろうと考えられました。
職権による額改定
遡及申請する場合は、申請日が認定日から1年以上過ぎていれば、診断書が2枚必要となります。審査も認定日と現在の2つの時点について行われます。
このとき、認定日と現在で額が改定されることを「職権による額改定」と言います。
職権による額改定は、請求者側が更新前に、明らかに症状が悪化した際に行う、「額改定請求」を行う場合とは別の扱いになります。
今回のように認定日3級→現在2級のケースとは逆に、認定日が2級、その後の改定で3級でも同様です。
このように、遡及申請をして、職権による額改定が行われても、「年金証書」は追加発行されません。
年金決定通知書・支払額変更通知書が届くのみです。これは後日送付されます。
そのため、支給される年金額などを確認したい場合は、最初に届いた「年金証書」のみでなく、後日郵送される通知もご確認いただければと思います。
年金決定通知書・支給額変更通知書(日本年金機構)
余談ですが、年金証書が届かない、紛失した場合に再発行する際は、遡及分の年金証書でなく、改定後の証書が届きます。
これは、年金機構が年金証書を再発行する際に、年金額が年度で改定されてしまっているためで、最新の証書しか発行できません。
額改定請求
請求者が明らかに、前回請求から症状が悪化した場合、額改定請求書と診断書を提出することにより、額改定の申請を行うことができます。
単に額改定と言ったとき、こちらの額改定請求を指すことが多いです。
額改定請求は基本的には、1年を待たなければ請求はできません。
しかし、下記の状態の場合は、1年待たずとも請求可能です。(国民年金法施行規則33条2の2、厚生年金法施行規則47条2の2)
眼・聴覚・言語機能の障害
- 1
- 両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2
- 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3
- 8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
- 4
- 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野の合計がそれぞれ56度以下のもの
- 5
- 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
- 6
- 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
- 7
- 喉頭を全て摘出したもの
肢体の障害
- 8
- 両上肢の全ての指を欠くもの
- 9
- 両下肢を足関節以上で欠くもの
- 10
- 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの
- 11
- 一上肢の全ての指を欠くもの
- 12
- 両下肢の全ての指を欠くもの
- 13
- 一下肢を足関節以上で欠くもの
- 14
- 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
内部障害
- 15
- 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
- 16
- 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの
- 17
- 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)
その他の障害
- 18
- 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの
- 19
- 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)
- 20
- 人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)
- 21
- 脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
- 22
- 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)
その他にも1年待たずとも申請できる場合がございます。
次回、額改定請求についてご案内いたします。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター