代表社員の小西です。
今回は認定調書についてご案内します。
認定調書とは
障害年金請求の結果、「等級不該当」、「初診日不明による却下」による不支給や支給決定したものの等級に納得できない場合は、不服の申立て(審査請求・再審査請求)を行います。
不支給の場合は、「国民年金・厚生年金保険の支給しない理由のお知らせ(不支給決定通知書)」が届きます。令和2年4月より、不支給決定通知書に同封された「決定の理由」と記載された書類の裏面「判断の根拠となった事実関係等」の項目に不支給の理由が示されるようになりました。
これにより、不支給決定の場合は、不支給の理由が明らかになるため、不服の申立て(審査請求・再審査請求)への対策が立てやすくなりました。
しかし、「2級だと思っていたのに3級になってしまった」など、想定よりも軽い等級に決定したときは、「決定の理由」は同封されません。専門家である社労士であっても理由がはっきりと分からないときがあります。理由が分からなければ、論点のずれた不服の申立てになってしまう可能性があります。
保険者(厚生労働大臣)が、どのような経緯で3級としたのかを知るには、日本年金機構の内部書類である認定調書を確認することが有効です。
認定調書の開示請求手順
認定調書を取り寄せるには、日本年金機構または厚生労働省へ個人情報開示請求をすることになります。日本年金機構への開示請求は、時間がかかることと、印紙での開示手数料支払いができないため、当社では厚生労働省へ開示請求を行なっています。
1.様式のダウンロード
厚生労働省のサイトより、保有個人情報開示請求書(標準様式第1号(1))をダウンロードします。
請求書等様式(厚生労働省)
2.用紙への記入
「1開示を請求する保有個人情報(具体的に記載してください。)」欄は、「令和◯年◯月◯日障害厚生年金請求に対し、3級とした審査の経緯がわかる書類一式。基礎年金番号〇〇〇〇-〇〇〇〇〇〇、昭和〇〇年〇月〇〇日生まれ」と記入します。
「2求める開示の実施方法等(本欄の記載は任意です。)」欄は、「イ写しの送付を希望する。」に〇をします。
3.身分証明書等の郵送
印紙(1件あたり300円)を貼付し、住民票(謄本または抄本)、運転免許証など住所が記載された身分証明書コピーと一緒に下記の住所へ郵送します。
厚生労働省大臣官房総務課公文書監理・情報公開室
住所:〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
電話番号:03-5253-1111(内線7129・7128)
4.申出書等の郵送
上記の開示請求後、30日以内に「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」が郵送されてきます。
「2求める開示の実施方法(該当する実施方法の□に✓印を記入して下さい。)」欄の、「写しの交付」と「全部」にチェックを入れ、指定された金額分の切手を同封し、下記の住所へ郵送します。
1回めの郵送と宛先が異なるので注意してください。
厚生労働省年金局事業企画課情報公開係
住所:〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
電話番号:03-5253-1111(内線3577)
5.書類の受け取り
申出書の返送後、数日で開示書類が郵送されてきます。
認定調書を含む書類一式が手元に届くまでには、1か月以上を要します。
不服申立て手続きには期限(審査請求は3か月以内)が定められています。
そのため、認定調書の確認を要する場面では、保有個人情報開示請求を迅速に行うことが大切になります。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士