障害年金の裁判、あのニュースのその後

横浜オフィスの黒川です。
2024年4月19日に、「1型糖尿病患者の障害年金支給認める 国が逆転敗訴 」大阪高裁のニュースがありました。
つい先日、大変興味深く見ておりました。
どうして今頃…？というのも、この裁判があってから、年金機構で糖尿病により照会文書が作成されたからです。

順を追ってお話しましょう。
まず、平成28年6月から糖尿病に関して、下記の通り認定基準が変わりました。

　
糖尿病での年金申請がより詳しくなった！というイメージでしたが、リンクから続きを読んでいただくと分かる通り「3級と認定します」とあります。
3級があるのは、初診日が厚生年金である3級認定のみです。
そのため、20歳より前に発症した1型糖尿病のみで障害年金2級を新規で受給できる可能性はほとんどありませんでした。

先述の裁判は「1型糖尿病」で障害基礎年金を受給していた患者8人が、この改定後に支給を打ち切られため、国を訴えたものです。
2審の大阪高等裁判所は、支給を認めないのは違法だとして8人全員に年金を支給するよう国に命じました。

障害基礎年金の認定基準は「日常生活に著しい支障にある方」です。
障害認定基準にあるように、1型糖尿病のみで障害年金を受給している患者さんの多くは、就労や日常生活を一人で送れない方たちであり、医療費も負担となっています。
しかし、糖尿病の認定基準が変わったことにより3級相当の判定となり、基礎年金が打ち切られたのでした。

この裁判後も、認定基準は変わりませんでした。
では何が変わったかというと、照会文書が作成されました。
障害年金（糖尿病）の請求にかかるご照会

これにより日常生活の困難さや、症状の重さで糖尿病でも2級を受給できる可能性ができたわけです。
裁判での影響力の大きさがうかがえます。

最近の認定の難化傾向で、精神の障害でも不服申立てを検討する事案が増えております。
裁判までとはいいませんが、明らかに納得いかない事案に関して不服申立てを行い、少しでも審査に影響を与えていければと思います。

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