多くの医師は患者の生活が良くなることを目標としている
日頃から障害年金の受給を希望する方より沢山の相談を受けていますが、多くの方は安定した就労継続ができず経済的に困窮しています。
十分な回復していないにも関わらず、生活のため無理に就労するも、病状の悪化や回復を遅らせ、仕事をやめざるを得なくなり、さらに困窮する悪循環に陥っているケースが多いように思います。
障害年金があれば、治療に専念することができ、回復した後は安定した就労継続(社会復帰)を目指すことができます。
以前のブログにて、障害年金請求を検討した際、最初にやるべきこととして「主治医へ障害年金の診断書作成に関して同意を得ておく」と記載しました。
しかし「どのように伝えるべきわからない」「単にお金が欲しいだけと思われないか心配」等ご意見も多いため、今回は伝え方のポイントについて取り上げたいと思います。
多くの場合、精神科医は治療により精神疾患の症状を改善させ、患者がより良い生活を送れるようにすることを目標としています。患者から障害年金について相談された際、次の2点で判断するケースが多いように感じています。
1治療効果の向上に寄与すること
ストレスは様々な精神疾患のリスク因子として知られています。ストレスの主因が経済的困窮の場合、薬物療法等の治療により症状を一時的に改善しても、根本の問題(困窮)がそのままであれば、十分な治療効果が発揮されないことがあります。障害年金の受給は経済的ストレスを軽減させることになります。ある精神科の先生から「障害年金と治療効果の相関関係も考慮して患者に勧めている」と伺ったことがあります。
2疾病利得の心配はないこと
医師が障害年金の診断書作成を断る理由のひとつが「疾病利得」です。
疾病利得とは病気になることで得られる利益のことです。利益(障害年金を含む)を得てしまうと患者は無意識のうちに病気の陰に隠れてしまい、主体的に病気を治す行動に移せなくなることを指します。こうなると社会復帰への道が遠のいてしまいます。そのため、疾病利得が治療上の問題にならないことを主治医に理解してもらう必要があります。
上記の2点を踏まえ「障害年金を受給することで安心して治療に専念したい」「将来的に社会復帰をしたい」というお気持ちを伝えるようにしましょう。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士