代表社員の小西です。
先週、厚生労働省保健局より、保険者(政府)が不支給とした原処分を取り消し3級の障害厚生年金を支給する旨が記載された裁決書が届きました。
本件は、9月17日に公開審理が行われたもので経緯は社会保険審査会の公開審理(4)に記載しております。障害認定日の診断書は2級相当でしたので、請求者側は一貫して2級を主張して参りました。結果的に、障害認定日後(約11か月後)に復職し、現在まで同一事業所に在籍していることから障害程度の判定は減殺(3級)された格好です。
満額(2級)回答とはいきませんでしたが、50か月分の年金一時金(約300万円)を受け取れることになりました。
今年は、(再)審査請求代理を10件受任しており、このパターン(障害認定日には休職しているものの、一定期間後に復職していることを以て障害認定日不支給)は6件(容認5件、棄却1件)あります。この6件から休職期間に関する(再)審査請求の容認/棄却ラインが見えてきます。
2は、復職したものの時短の契約社員へ変更となる等、障害者雇用と同等の合理的配慮を受けていたことが考慮されたので別枠とします。
そうすると、容認で復職期間が短い3(7か月+22日)と棄却された1(3か月+2日)の中間である5~6か月が容認/棄却ラインであることが分かります。
容認ラインを知ることは、不服申し立てだけでなく、新規裁定請求にも効果を発揮します。
例えば、その案件の復職までの月数が7か月以上であった場合、上表1の裁決例を示した申立書を添付します。
そうすると、保険者は復職時期のみを理由として不支給にし辛くなります。このように、保険者の不合理な裁定を抑止する目的でも裁決例を使うことができます。
当社は、顧客満足度と専門性の向上を目指し、今後も(再)審査請求代理を積極的に受任して参ります。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士