代表社員の小西です。
先週木曜日、社会保険審査会の請求代理人として厚生労働省に行ってきました。
この日は、加藤厚生労働大臣の官房長官就任発表の翌日でした。正面入口のバリケードは取り払われ、「内閣官房長官」のプレートが掲げられたワンボックスカーが停まっていました。「こういう内向きの仕事だけは早いんだなぁ省庁は」と感心しながら地下入口に誘導され受付を済ませました。
本題に入ります。
今回も請求日2級認定されているものの、障害認定日不支給となったため、請求者側は社会保険審査会に保険者の決定を取消すよう求めています。事前に配布されていた公開審理資料の保険者意見書では、診断書内容は2級相当であることを認めているものの、不支給の理由として以下を挙げていました。
➀ 症状の増悪により障害認定日時点において就労困難時期だったとしても、休職期間を経て復職したことを考慮すると、一定の労働能力を保てていたことが窺える。
② 診断書(障害認定日)の全般的状況(対人関係)は「家族との関係は良好。家族以外の対人関係は殆どない。」とされ、請求人は、家庭内での一定の疎通性及び日常生活能力は保たれていることが窺える。
➀はいつものテンプレートなのですが、問題は②です。過去にも保険者は、「家族内での一定の疎通性=日常生活が著しい制限はない」と曲解して不支給としたことがあります。この論理だと、家族の理解と援助のもと自宅で療養している場合は、障害等級2級に該当しないことになってしまいます。ただ、この無理筋な論理も毎度のことなので驚きはありません。呆れたのは、請求日の診断書にも同じ文言が記載されているにも関わらず堂々と不支給の理由としていたことです。
保険者は、「家族との関係は良好。家族以外の対人関係は殆どない。」の文言を取り上げ、診断書(障害認定日)は不支給、同じ文言が記載された診断書(請求日)の診断書を2級認定しているのです。保険者は自己矛盾で墓穴を掘っています・・・。当日配布された保険者意見も含め、保険者が提出した資料にはところどころに突っ込みどころがあり、審査員からも指摘されていました。
公開審理では、審査員から追加資料の提出を求められたものの、出席参与はすべて請求者の主張に賛同してもらいましたので、今回も保険者の決定が取り消されることを期待します。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士