横浜事務所の黒川です。
今回は加給年金について、いろいろお伝えしたいと思います。
申請を忘れがちなケース
事実婚
年金の規定での配偶者とは、民法でいう配偶者のみでなく、「事実婚」という戸籍上に入っていない配偶者も認められます。
当社のよくあるご質問「内縁関係でも配偶者加給を認められますか?」にもあるように、実態に基づき夫婦同様であることが書類で証明できれば、加給金はつきます。
受給決定後の結婚・出産
従来では老齢年金や遺族年金のように、認定時点での状態で加給金がつくかどうかが判定されていましたが、障害年金に関しては平成23年4月1日施行で、受給権が発生した以降に、生計維持関係が発生すれば、そこから加給年金が発生するようになりました。
障害年金受給後に結婚した、子供が生まれた場合などです。
その際には、「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届」を戸籍謄本と一緒に提出します。
障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届ダウンロードページ(日本年金機構)
注意が必要なケース
障害年金の受給者が、老齢年金の加算対象である場合
今回、障害年金の受給が決まった女性で、配偶者が65歳以上の方が二人いらっしゃいました。(いわゆる年下妻)
老齢年金の加算対象となっている妻が障害年金を受給した場合は、老齢年金の加給年金は自動的に停止されます。
さらに、遡及した場合はその分の返納金が発生します。
現在の老齢の配偶者加給金は年間390,900円(令和2年度)ですので、障害年金を受給した場合は3級でも加給金よりは高額ですので損にはなりませんが、注意が必要です。
収入要件について
請求時点で配偶者の収入が850万円以上の場合、配偶者加給金はつきません。
それでは、収入が下がったらどうなるのでしょうか?
その場合は請求できます。これは、老齢年金と違うところです。
前年の収入で認定されますので、申請時点では前年の収入が850万の収入を超えていたため請求できません。翌年から収入は落ちたという場合、加給年金をつけるお手続きはできます。
ただ、ここで落とし穴が。一度加給金が付いて、収入がまた翌年超えてしまった場合、自動的に止まりません。
届出をしないと過払い金として、返納を求められます。
配偶者の申請年の前年の収入のみ850万を超えていて、それ以降は収入が落ちているならば、お手続きをした方が良いかと思います。
離婚分割をした場合
それまで加給金がついていたご夫婦が離婚された時、最近では離婚分割をおこないますが、ここでも注意が必要です。
年金事務所で離婚分割の手続きをされても戸籍とシステムは連動していませんので、届出をしないと過払い金が発生します。
分割により標準報酬が下がった場合はその金額で計算されます。
年金事務所のデータはマイナンバーで収入と住民票が連携されましたが、システムの古さから今もほとんどが届出主義です。
届出しないと入力されずデータが分かりません。
特に過払い金について、あとから一括で請求されたりするとたいへん高額になってしまいますので、ご注意ください。
※これはあくまでも現在での状態です。今後、法改正やシステム改正等で、変わってくる可能性もあります。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター