代表社員の小西です。
去年11月ですが、神奈川県精神保健福祉家族会連合会(じんかれん)が主催した夏苅郁子先生の講演を聞く機会に恵まれました。
夏苅先生は、精神科医であるとともに、患者でもあることを数年前に公表されました。精神科医・患者の両方を知る立場から、患者や家族が精神科医療に何を求めているかを調査・分析し、精神科医に伝える活動もされています。
調査結果の中で興味深いデータは、「もし担当医を選ぶことができるとしたら、どのようなことを参考にして選びますか。」という質問です。重視する順番に並べると・・・
- 1:適切な薬を処方する能力
- 2:人柄・性格
- 3:コミュニケーション能力
- 4:困っている時、すぐに行動できる力
- 5:学問的・医学的知識
- 6:利用者の口コミ
- 7:勤続年数
- 8:病院名
- 9:知名度
- 10:出身大学
という結果になったようです。
アンケート回答者は統合失調症の患者・家族の方が多いということもあるかも知れませんが、「適切な薬を処方する能力」が「人柄・性格」や「コミュニケーション能力」よりも重視されていることが意外に思いました。
確かにご依頼者様の中には、主治医の処方に全幅の信頼を寄せている方がいる一方、(他の薬が効かないなどの理由があるのだと思いますが)副作用が強い前時代的な薬を処方されている方もいます。
しかし、よくよく考えてみると「適切な薬を処方する能力」を養うには、じっくりと患者の話を傾聴し、最新情報を仕入れるなど知識のアップデートが必要になりますね。そういう意味では、「コミュニケーション能力」や「学問的・医学的知識」を含めての「適切な薬を処方する能力」なのかな、と妙に納得しました。
その他にも講演では興味深いエピソードを沢山聞くことができました。夏苅先生の半生を描いた自伝的エッセイ『人は、人を浴びて人になる』も会場で購入しました。お勧めです。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士