代表社員の小西です。
昨日、厚生労働省年金局の担当官より、「障害基礎年金の障害認定日を不支給とした決定を変更し、請求日と同じ2級とする」旨の連絡がありました。
いわゆる保険者(厚生労働大臣)による処分変更です。
社会保険審査会の公開審理を翌日に控えておりましたが、前日に処分変更の電話連絡って…。
本当は審査会の裁決書が到着してからの開封するドキドキを味わいたかったのですが、依頼者様に早く結果をお伝えできるので良しとします。
本件は、双極性障害の障害認定日における障害状態が2級に該当するか否かを争いました。
公開審理の3週間ほど前に請求人、保険者それぞれの主張や裏付ける根拠がまとめられた審理資料が送られてきます。
保険者の主張は、新ガイドラインの等級の目安では2級に該当するものの、「短期的かつ挿間的な躁エピソード時に派遣やアルバイトを試みるが続けられず、自閉的に過ごしている。」の一文を取り上げて、「限定的ながらも就労できている(のだから日常生活に著しい支障があるとは判断できない)」というものでした。いつもながら保険者の豊かな創造力には驚かされます…。
公開審理に向けて、保険者の主張に対して請求者側の反論を記した追加意見書を社会保険審査会に送付しており、その効果かどうかは不明ですが、結果的に保険者は審査会の裁決を待たずに折れた格好です。
依頼者は、まだ病状は安定せず、就労には至っていないとのことでしたが、年金一時金(約220万円)の支給決定を報告できましたので、少しは安心して頂けたと思います。
これで一件落着しましたが、不支給決定からすでに1年経過しており、ここから再審査請求の取下げを行い年金一時金の支払いまでさらに4~5か月かかります。保険者が誤りを認めたのであれば、この遅々とした対応を改善してほしいものです。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士