“代表社員の小西です。
先日、社会保険審査官が使用している「レセプト事務のための薬効・薬価リスト 令和2年版」が届きました。
当社では、うつ病、双極性障害など気分障害での障害年金サポートを行う際、ご依頼者様のお薬手帳のコピーをご提供いただき、内容を確認させて頂いております。というのは、処方されている用量は等級審査に影響する可能性があるからです。
当社案件で、うつ病での障害年金請求で診断書は2級相当だったのに、処方されている抗うつ薬が初期量であることを理由に病態の度合いは軽度(3級相当)であると判定になったことがあります。
また、うつ病での障害年金請求で、抗うつ薬の処方がないことを理由に不支給(その後の不服申し立てで決定は覆っています)としたものがあるなど、処方薬量が等級判断の材料になっている裁決例が散見されます。
いままでは、インターネットで処方用量を確認していましたが、サイトによってバラつきがあることから、社会保険審査官が使用している専門書を使用することにしました。この本は前述の請求側にとって不利な判定で審査請求をした際、社会保険審査官の決定書に登場しています。
では、気分障害の障害年金の際、2級相当の診断書であるにも関わらず、処方薬(うつ病は抗うつ薬、双極性障害は気分安定薬)が初期量であることのみをもって、不利な判定をされないためにどのような対策が必要でしょうか。
ひとつめは、用量の記載を省略して診断書を作成していただくことです。
精神の診断書には⑩障害の状態「イ左記の状態について、その程度・症状・処方薬等を具体的に記載してください。」と、処方薬を記載する項目があり、多くの医師は薬剤名と用量を記載します。しかし、この項目には用量の記載までは求められていませんので、省略することが可能です。
ふたつめは、初期量(または処方薬無し)であることの理由を付記していただくことです。
妊娠を予定していたり、副作用などから、一時的に医師の判断で投与量を調整していることがあります。このような時期と障害認定日が重なる場合、初期量(または処方薬無し)の理由を併記して頂き、「初期量=軽度」と判断されないようにします。
もっとも、処方薬がなくても、障害認定日請求が認められた案件もあるので、一概に影響するとは言えませんが、気分障害で障害年金請求を予定している方は処方薬量のことも念頭に置いて準備を進めた方がいいでしょう。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士