代表社員の小西です。
昨日、社会保険審査会の請求代理人として厚生労働省に行ってきました。
先週に続き、今月は2回目(今年5回目)になります。
本件は、私が個人事務所時代(2017年7月)に受任した脳脊髄液減少症の初診日に関する不服申立てです。
脳脊髄液減少症は、事故や転倒などの衝撃(外傷だけでなく、原因不明の場合ある)により、頭部の髄液が漏れ、脳と脊髄の周りを満たす髄液が減少することにより、頭痛・めまい・全身倦怠感などの様々な症状が出現する傷病で、「脳脊髄液漏出症」ともいいます。
かつては、脳脊髄液減少症の障害年金請求に際し、初診日は相当因果関係のある事故や症状で初めて医療機関にかかった日とされていましたが、近年の審査では確定診断がでた日を初診日と判断するようになっていました。この傷病は専門医が非常に少なく、確定診断がされるまで数年かかることも多く、そうすると支給開始時期が遅れたり、厚生年金期間中の初診日として手続きできるケースでも基礎年金になったりするなど、請求人が不利益を被ることがありました。
この状況に業を煮やした社労士等の専門家グループが声を上げ、実務を担当する日本年金機構が厚生労働省からの要請で令和元年12月から運用を改善したとの報道がありました。
関連記事:2020年1月14日の東京新聞「障害年金支給減を改善 髄液漏れ患者 初診日認定早く」
本件も同様のケースで、脳脊髄液減少症の第一人者である臨床医が認めている初診日を保険者の認定医が否定していますが、その根拠は確定診断がついていないという理由だけです。
公開審理直前での運用改善報道は大きな力になりました。状況打開のため東奔西走された専門家グループの先生方には心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。
新規裁定請求からここまで約2年半、裁決まではあと半年前後かかる見込みです。なんとか長い間お待たせしている依頼者様に吉報を届けたいです。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士