もくじ
障害年金の主な審査項目とは
障害年金には訪問や面談などの調査はなく、書類審査だけで支給の要否が決まります。
そのため、事前にしっかりとした提出書類を揃えておくことが必要です。
まず、以下に精神の障害による障害年金の申請の際に審査される重要な項目について、お伝えします。
1初診日が明確に分かっているか
障害年金を受給できるかどうかの審査で、まず大切になってくるのは、初診日がはっきりしているかということです。
初診日とは、精神の障害であればメンタルに不調をきたし、初めて病院を受診した日のことを言います。
障害年金を受給できる権利が発生するのは、この初診日から1年6か月の期間を経てからになります。
なお、この初診日から1年6か月の日を障害認定日といいます。
精神障害の場合は症状によっては治療期間が長くなったり、医師との相性の兼ね合いで、初診の病院から何度か転院しているケースもめずらしくありません。
そういう場合、初診日を証明するために、複数の病院からの書類や転院した病院ごとの診断書などが必要となることもあります。
ただ、初診日は年月日まで細かく証明できなくても、例えば「2001年夏」でも受給できた例は多々あります。
はっきりと分からなくても、できるかぎりの資料を集めてみましょう。
初診日付近が納付要件を満たすかどうか、あるいは障害基礎年金(国民年金)か障害厚生年金(厚生年金)かの境目になる場合は、審査が厳しくなる傾向にあります。
2初診日前に年金の保険料を支払っているか
障害年金は簡単に言うと、日本在住者全員が加入する保険です。
そのため、初診日の時点で、国民年金などの公的年金の保険料を支払っているかどうかを審査されます。
ケガをしてから保険に入っても、そのケガについて保険がおりないのと同じです。
保険料を支払っていると認められるには以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
公的年金を2/3以上納めていること
障害年金を受給するには、初診日を含む月の前々月までに公的年金を2/3以上納付していると、納付要件を満たすことができます。
年金保険料(全額)免除・納付猶予されていた期間も、これに含まれます。
初診日を含む月の前々月までの1年間において年金保険料を未納していないこと
2/3以上納付の条件を満たしていない場合は、初診日を含む月の前々月までの1年間で保険料に未納がないという条件が整っていれば、障害年金の支給要件を満たすことができます。
20歳以下の初診は例外
20歳未満の際に初診日がある場合は、年金保険料の支払いは条件に当てはまりません。
一方で20歳未満の際に一定額以上の収入があった場合は、所得制限の対象に含まれることがあります。
これらの確認は、年金の納付記録とあわせて審査されますので、不安な方は事前に自身で年金記録を確認しておくことがおすすめです。
ただ、年金記録は納付済みであっても、初診日を過ぎてからの納付であれば、納付要件を満たすことはできません。
分からない場合は、社労士に相談するのがおすすめです。
さがみ社会保険労務士法人では、ご相談の一環として無料でお調べすることが可能です。
3障害の状態にあるかどうか
障害年金は、申請の際に障害の状態にあると判断されなければ、支給の対象になりません。
障害の状態と認められるには、定められた障害認定基準に該当している必要があります。
認定基準に当てはまるかどうかは、主に主治医が記載した診断書によって判断がなされますが、申請者本人が申告する病歴や就労歴などもあわせて審査されます。
また、主治医と本人の申告に相違があるとみなされた場合は、カルテの提出が必要となったり、主治医に対して意見を求められることもあります。
書類審査に通るためには主治医の協力も必要となる
上記でお話ししたように、障害年金を申請する際には、いくつかの書類を提出しなければなりません。
特に審査に大きな影響を与えるのが、主治医が記載した診断書です。
なかには、診断書に記載されていた内容が、障害の状態にあると捉えられずに障害年金の不支給とされるケースもあります。
そのため、主治医には日頃から自分の症状や状況がどういったものであるのかを正直かつ明確に伝えておくことが大切です。
このような過程がなければ、主治医も本当の病状を十分に理解することができず、事実とは異なった内容の診断書を作成してしまう可能性があります。
さらに、初診の際に受診していた医師と、現在治療を受けている医師が違う場合は、本人の症状や状況を正確に把握していないケースも多いでしょう。
そういう環境にいる際は、障害年金を受けたい旨を、まずいつもの診察時に相談してみることがおすすめです。本人と主治医が障害年金の受給を目指すという共通の目的があれば、書類審査に通りやすい診断書をスムーズに作成できる可能性がより広がります。
直接主治医に障害年金のことを言い出しにくいという場合は、家族に同席してもらい、客観的に本人の病状などを伝えてもらうのも良いでしょう。他にも、医療専門スタッフや社会保険労務士などの力を借りながら、進めていくという選択肢もあります。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士