障害年金審査の難化傾向
横浜オフィスの黒川です。
最近の審査難化傾向について、昨年までであれば認定されていただろう内容の診断書で不支給となったご相談や、2級相当なのに3級となった事例が増えております。
不支給の通知では【判断の根拠となった事実関係】が届くようになりましたが、ご納得されない・意味がわからないというご意見をいただき、なるべく多くの認定調書を取り寄せております。
判断の根拠となった事実関係に記載されていることがらについて、十分な説明はなされておりません。
精神の診断書の事例についてお話します。
認定調書について
冒頭に記載されているのは、「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」の算出した数字です。(精神の障害に係る等級判定ガイドラインのP5障害等級の目安)
「2級」でも「3級」となったり、「2級又は3級」でも不該当となっていたりすることがあり、これだけではその等級になった理由は分かりません。
その他という項目があり、こちらには診断書の文言を抜粋していることが多いです。
病歴・就労状況等申立書に症状等の詳細が記載されていても、診断書の文言の方が重要視されております。
そこで、診断書の表現が曖昧な場合は、対策として「補足資料」として添付するようにいたしました。
具体的な事例2件
今回、認定調書を取り寄せた2件に関してですが、明らかに診断書は2級相当の内容であり、さらに診断書の文言も問題ない事例でした。
なぜ3級になったのか。認定調書を取り寄せたところ、今までは1枚の認定調書だったところ、2枚の認定調書が送られてきました。
1カルテ請求からの3級判定
【認定医の見解】認定医A:2級 認定医B:3級
【結果】3級
Bの認定医の認定調書の具体的等級判定の理由には、「カルテ内容により軽度」とございました。
通常の審査にカルテは必要ございません。
最近の傾向で、認定日請求に関して(再請求はほとんど)ですが、カルテ開示を返戻として要求することが増えております。
年金の審査は本来、診断書と病歴・就労状況等申立書をもって行われております。
なぜカルテ開示を要求するのか、なぜ返戻が増えているのか。
前回小西が記載した通り、減点対象を探しているようにしか思えません。
2障害者雇用での不該当
就労状況には「障害雇用であり単純かつ反復的な作業」と記載され、昨年までであれば3級に該当(障害等級の目安では2級)した内容が、不該当となりました。
Bの認定調書の具体的等級判定の理由には、「仕事・賞与あり」との記載がございました。
明確には記載しておりませんが、標準報酬が高めの方は、症状が認定基準を満たしていても本来より低い判定となっている傾向があります。
以上のことから、最近の判定傾向は、明らかに減点対象を探しての審査となっているような気がしてなりません。
申請時には減点対象となる項目についての対策が必要となっております。
- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター