社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。
今年6月のブログにて、障害厚生年金の等級審査が厳格化されていることを取り上げました。
ブログでは「『休職中』に注目している可能性」に言及しましたが、認定調書に直接的な記述はなく、確かな裏付けはありませんでした。
今月、その裏付けが取れましたので、続報としてお知らせします。
2級相当の診断書にも関わらず、3級となった方の審査請求を受任しており、認定調書を取り寄せました。
【認定医からの障害の程度の評価・事務連絡等】には「休職中 改善の余地あり」とあるのみで、他に等級判定の根拠となる記述はありませんでした。
そうすると「休職中は復職の可能性があり改善の余地があるから、ガイドラインが2級相当であっても差し引き認定(下位等級へ変更)する」と日本年金機構が判断したことになります。つまり「休職中」と「無職」を区別し、「休職中」は「無職」の下位区分として取扱っています。
しかし、どちらも本質的な状況(就労していない)に違いはありません。強いて違いがあるとすれば、籍(事業所)の有無のみです。
さらに、「休職中=改善の余地あり」「無職=改善の余地なし」や「休職中=短期」「無職=長期」という理屈が成り立たないことは言うまでもありません。
復職の可能性を考慮するのであれば、むやみに請求人に不利益な決定(3級)とせず、一旦2級を認め、翌年に再認定(障害状態確認届の提出)期日を設定するのが本来あるべき正しい処分であると考えます。
最近の不合理な決定の多くが障害厚生年金に集中しており、返戻によりカルテや「日常生活及び就労に関する状況について(照会) 」の提出を求められることも増えています。
はじめて障害年金を請求する方が、等級審査のトレンドを把握して、ケース別に適切な対策を講じることは極めて困難です。これから障害厚生年金2級を目指す場合は、障害年金を得意とする社会保険労務士への相談・依頼をお勧めします。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士