障害年金請求手続きを業として行えるのは社会保険労務士(社労士)と弁護士に限られます。
相談先や代理人を選ぶ際、Googleで検索する方が多いと思いますが、表示されるのは社労士事務所のサイトがほとんどです。近年、障害年金業務に取り組む弁護士も少しずつ見られるようになりましたが、社労士に比べるとまだまだ少ない印象です。
一般的な請求手続きに必要な業務範囲は変わりませんが、一部は弁護士にしか認められていないものがあります。
ここでは、弁護士に相談・依頼すべき2つのケースを紹介します。
- 古いカルテ等の開示に医療機関の協力が得られない
- 弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。
初診日を特定するため、医療機関へ古いカルテ等の開示を求める場合、保存期間(5年)を理由に拒否されることがあります。そのような場合、弁護士照会は弁護士会が照会を行うため、医療機関がカルテ等開示に応じる可能性は個人で請求するよりも高まります。当社では、古いカルテ等を収集する必要があり、医療機関の協力が得られない場合、「個人情報保護法」による開示請求等を行っています。
- 行政訴訟を視野に入れている
- 障害年金の請求が不服申立て(審査請求・再審査請求)でも認められなかった場合、裁判(行政訴訟)を検討することになります。弁護士であれば、訴訟代理人として訴訟手続き全般を委任することができます。
なお、社労士は不服申立ての代理人までは可能ですが、訴訟手続きはできません。ただし、補佐人として弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述することはできます。
上記に該当するケースでは、弁護士に相談することをお勧めします。
どこに連絡してよいかわからない場合は、お住いの都道府県の弁護士会に問い合わせるか、障害年金を得意とする社労士に紹介してもらうことも可能です。
最後に、弁護士の相談会に関する告知です。
日本弁護士連合会では定期的に全国一斉障害年金法律相談会を行っており、次回は2023年11月2日(木)10時00分~16時00分に開催されます。
詳細は第5回全国一斉障害年金法律相談会をご覧ください。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士